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大島渚監督『マックス、モン・アムール』

2022-06-22 06:11:00 | ノンジャンル
 大島渚監督の1987年作品『マックス、モン・アムール』をDVDで観ました。
 サイト「MOVIE WALKER PRESS」のストーリーに加筆修正させていただくと、
「優雅なアパルトマン、恵まれた報酬と約束された地位、美しく知的な妻(シャーロット・ランプリング)、しつけよく育てられた一人息子、住み込みのフランス人のメイド。仕事らしい仕事はほとんどなくて、3ヵ月先の女王のパリ訪問の予定をたてるのがせいぜい、というのがパリ駐在のイギリス大使館員ピーター(アンソニー・ヒギンズ)の毎日だった。
 そんな夫婦生活が崩壊するような事件が起きた。妻マーガレットに愛人ができて、夫のピーターに内密でアパートを借りているようなのだ。私立探偵を使って調べてみると、相手はなんと人間ではなく、大きなオスのチンパンジーのマックスだった。動物園で眼と眼が合ってお互いにひかれたのだ、とマーガレットは言う。
 嫉妬と驚嘆の両極の中で、ピーターはマックスを家に呼んで、奥の部屋に檻を作って同居させる。最初、環境の激変からか元気をなくしていたが、一人息子のネルソン(クリストファー・ホビック)と仲よくなり、徐々に元気を取り戻していった。
 しかしピーターが気になるのはマーガレットとマックスの仲だった。檻の中で何をしている、と聞くピーターに、「そんなに気になるなら鍵穴からのぞけば」と答えるマーガレット。それが大きな悩みとなって同僚で愛人のカミーユ(ダイアナ・クイック)との関係もギクシャクしはじめる。
 久しぶりにエレーヌ(ニコール・カルファン)らの友人を招いてホームパーティを開くがマックスの存在が知れ、客たちはそそくさと帰ってしまう。
 ある日、ピーターはマーガレットの留守を狙ってストリート・ガールのマリア(ヴァクトリア・アブリル)を檻の中に入れ、裸にさせた。チンパンジーと人間の女がSEXできるのかどうか、実験したのだが、マックスがおびえてしまい、試みは失敗に終った。
 女王陛下のパリ訪問公式旅行が迫ったころ、マーガレットが母の入院介護のため家をあけた。マックスはその日から食物を食べなくなった。女王陛下が観劇された夜、ついにピーターは大使館員の身分を捨てて家に飛び帰った。もし今夜、マックスをマーガレットに会わせなければ、死んでしまうかも知れない。ぐったりしたマックスを抱いて、マーガレットのもとに急いだ。久々の再会でマックスは元気になり、パリに帰った親子三人とマックスの新しい生活が始まった。」

 シャーロット・ランプリングの美しさが目立った映画でした。

ダニーラ・コズロフスキー監督『チェルノブイリ 1986』

2022-06-21 07:27:00 | ノンジャンル
 ダニーラ・コズロフスキー監督・主演の2020年のロシア映画『チェルノブイリ 1986』を「あつぎのえいがかんkiki」で観てきました。
 これはチェルノブイリで消防士として働く主人公と幼い息子のいるその妻の看護婦が、主人公が仕事に没頭するあまり、妻が子供を連れて別れたいというシーンから始まるのですが、その後、一旦人災で発電所が爆発すると、いきなり道に人間の肉の塊が跳んでくるなか、ハラハラドキドキの錬測で、心臓に悪い映画でした。
ラスト、現場の作業員がなんとか排水管のバブルを開けることに成功し、水蒸気爆発は起きずに済み、看護婦と放射能を浴びて隔離されていた息子も無事に一緒になり、
最後、主人公も半端ないベクレルの放射能を受けて、全身やけどを負いながらも助かるのですが、映画好きな方ならスピルバーグの『プライベート・ライアン』のノルマンディ上陸作戦のシーンと、『ジュラシック・パーク』の恐竜の襲撃のシーンが、圧倒的な映像と音のショックで最後まで突っ走るもので、私はラストシーンで号泣してしまい、また長々と「あつぎのえいがかんkiki」の映画ノートに感想を書いてきました。。
そしてセリフの中で、あの事故が起きた時のソ連の書記長が、冷戦を終らせたゴルバチョフだというのがあって、そう言えば、日本でも福島原発の爆発が会った時は、
首相は民主党の菅直人さんで、官房長官を枝野さんがしていて、朝から晩まで一日中、枝野さんが頑張って仕事をされて、テレビを観ていた人が「枝野、もういいから少し休めよ」と言っていたことを思い出しました。
あの時の民主党政権は、小泉純一郎と竹中平蔵という最悪のコンビが、「構造改革」の名のもとに、労働者を守ってきた法律をすべて破壊し、その大混乱の中から生まれたのが、民主党の大勝でした。その結果、ドイツのメルケル首相、それにアメリカのサンダース上院議員が唱える「社会民主主義」という考えが生まれ、わが社民党も、それの実現を目指してつっぱしっているところです。

 ここで問題となるのは維新の会で、彼らはやくざの集まりで、大阪が弱小商業主が多かったことから、「新民主主義」のもと、生活保護を受ける方がとても増えたので、彼らに対してヘイトスピーチをし、「仕事もせずに生活保護や福祉を受けている奴らは、税金の無駄つがいだから、切って捨ててしまえ」と堂々と演説したやくざの集団です。
「税の無駄遣いを無くす」だけを読んで、支持している人が多いので、(こないだもBS8で橋本徹というサラ金の取り立ての仕事をしていたヤクザと、イケメンの大阪府知事と、訳の分からんやはりヤクザ顔をした松井というおっちゃんを呼んで、
討論会をゴールデンタイムで流していたりしたので、そういう時は番組のプロデューサー宛ての抗議の電話の嵐をぶっかけてやりましょう。

大島渚監督『愛の亡霊』

2022-06-20 05:27:00 | ノンジャンル
 大島渚監督・脚本の1978年作品『愛の亡霊』をDVDで観ました。
 サイト「映画ウォッチ」のあらすじに加筆修正させていただくと、
「儀三郎(田村高廣)は車引きで妻のせき(吉行和子)と幼い息子と暮らしていました。娘は奉公に出ていました。この家に若い豊次(藤竜也)が出入りするようになりました。義三郎はせき(吉行和子)に対し、豊次はお前に気があるんじゃないかと話していましたが、せきは26歳も若い男となんてとまともに聞いていませんでした。
 ある日豊次が餅を買ってせきの家に来ました。二人で一緒に餅を食べました。その後豊次がせきの家を訪れると、せきは胸をはだけて息子と昼寝をしていました。これを見た豊次はせきに関係を迫り豊次とせきは結ばれました。
 義三郎が仕事をしている間に二人は関係を持ちますが、お互い本気になり、豊次が義三郎を殺そうと言い始めました。豊次に惚れきったせきも同調し、焼酎を大量に飲ませ眠らせて首を絞めることにしました。義三郎の死体は二人で森の中にある古井戸に落としました。
 それ以来豊次は山の落ち葉を拾っては古井戸に投げ込みました。この光景を西の若旦那(河原崎建三)に見られてしまいました。世間を気にした二人は今までと同じように別々に暮らし、せきは義三郎が東京へ出稼ぎに行ったと近所には言っていました。やがて3年がたち、周囲では義三郎が帰って来ないのはおかしいと言い始めました。
 娘が帰省してきました。父の義三郎が井戸の中で寒いと言っているという夢を見たと言いました。また近所の噂も激しくなりました。警官の堀田(川谷拓三)も事情聴取を始めました。そしてせきの前に義三郎の幽霊が現れるようになりました。車を引いたり、家で座っていたりと頻繁に現れ始めました。怖くなったせきは豊次に話しますが豊次には見えないといわれます。豊次も近所を探り始めました。そして古井戸の中に義三郎がいるという噂が広まりだした頃、豊次は唯一見られた西の若旦那を殺しました。
 警察のマークも厳しくなり、近所の疑いも強くなったことで、せきは自殺を図り、家の中に火を付けました。それを見た豊次は戸を壊し中に入りせきと交わりました。そこに警官と村人がやってきて二人を取り押さえました。二人は木に縛り吊るされ拷問を受けました。古井戸からは白骨化した義三郎の遺体が引き揚げられました。その後せきと豊次は死刑を執行されました。」

 漆黒の画面が多く見られました。ちなみに本作で大島渚監督はカンヌ映画祭で最優秀監督賞を受賞したそうです。

大島渚監督『愛のコリーダ』

2022-06-19 01:19:00 | ノンジャンル
 今朝の新聞の朝刊に、ジャン・ルイ・トランティニャンさんの訃報が載っていました。享年91歳。私にとっての彼はコスタ・ガブラス監督の『Z』、エリック・ロメール監督の『モード家の一夜』、ベルナルド・ベルトリッチ監督の『暗殺の森』、ルネ・クレマン監督の『狼は天使の匂い』、エルヴィオ・ソトー監督の『サンチャゴに雨が降る』、フランソワ・トリフォー監督の『日曜日が待ち遠しい!』の姿が特に印象に残っています。一時はフランスを代表する俳優でした。心よりご冥福をお祈りいたします。

 さて、大島渚監督・脚本の1976年作品『愛のコリーダ』の無修正版をDVDで観ました。
 パンフレットのSTORYに加筆修正させていただくと、
「昭和11年2月1日。東京中野の料亭、吉田屋に阿部定(松田英子)という名の女が住み込み女中として雇われた。定は先輩女中に誘われ、主人の部屋を引き戸の隙間から覗く。そこには河岸に出かける前の主人の吉蔵(藤竜也)と女将のトク(中島葵)が交わっていた。凛々しい吉蔵の肉体に、定は息をのむ。
 翌日、老乞食(殿山泰司)が店の庭に入り込んできた。乞食は定の顔を見て驚く。定が遊郭にいた時代の客だったという乞食は、定ともう一度交わりたいとせがむ。しかし、年老いた乞食のものは役立たない。
 主人の吉蔵は40過ぎの男ざかりで、粋な男だった。一目惚れしてしまった定。吉蔵も定の持つ独特の色香に惹きつけられていく。ある日、定が吉蔵のいる離れへお銚子を持っていくと、吉蔵は良い喉で清元を唄っていた。聞き惚れた定は、吉蔵に誘われるまま身を任せてしまう。以来、二人は周囲に隠れて、色に耽ることになる。その頃、東京では青年将校によるクーデター、二・二六事件が起きていた。
 だがすぐに二人の仲は、トクの知るところとなる。吉蔵と体を重ねる様を見せつけるトクに、定は激しく嫉妬。ついに、吉蔵と定は駆け落ちをする。落ち着いた先の待合宿・みつわで、芸者をあげて祝言を行う。三味線の音に合わせて、芸者たちの前で床入りする定と吉蔵。数日で家に戻るつもりだった吉蔵だったが、定に引きずられるように、昼夜を問わず愛を交わす。吉蔵は、定の求めを拒むことのない、とことん優しい男だった。
 遊蕩の限りを尽くす二人だったが、金が底をついてしまい、定は名古屋のパトロンである大宮の元へ向かうことにする。だが、吉蔵がトクの元へ帰ることを恐れた定は、吉蔵の着物をとりあげて、自分の赤い長襦袢を着せるのだった。
 大宮から金をもらい東京に戻った定と吉蔵は、さらに待合宿を転々とする。小さな部屋でひたすら色に耽る二人。気づけば二週間が過ぎ、吉蔵は一旦家へ帰らざるを得なくなる。一度手放したら、吉蔵の身も心も戻らないのではと不安になる定。金策をした吉蔵は、定の待つ待合宿・満佐喜に戻ってきた。だが嫉妬に狂う定は、「今度別れたら殺してやる!」と包丁を振りかざす。そんな定を、吉蔵は優しくなだめるのだった。その頃から、二人はさらなる快感を求めるようになっていく。それは首を絞め合いながら、交わるというものだった。最初は吉蔵が定の首を絞めていたが、定が可哀想になった吉蔵は、定に自分の首を絞めさせる。官能に溺れ、風呂にも入らない二人の部屋には、中居や芸者も寄り付かなくなってしまった。ますますエスカレートしていく定は、ようやく来た老妓を吉蔵に犯させる。だが吉蔵の顔からは精気が失われていた。
 五月。定はもう一度名古屋に向かい金策をしてくるが、その頃には吉蔵は目に見えて瘦せ細っていた。定の求めに応じて激しく交わりながらも、吉蔵は死を受け入れたような哀しい目をしている。ようやく眠りについていると、定が紐に手を伸ばす。絞めていいよ、と言う吉蔵。定の紐を持つ手がギリギリと強まる。気づけば、吉蔵はこと切れていた。
 定は、吉蔵の陰茎を包丁で切りとり、血文字で吉蔵の体に「定吉二人キリ」、と書き記す。愛する吉蔵の分身を抱え東京の旅館を転々としたのち、捕えられた定は、世にも晴れやかな笑顔であった。」

 究極の愛の物語でした。

大島渚監督『夏の妹』

2022-06-18 00:29:00 | ノンジャンル
 今日はポール・マッカートニーとボリス・バルネットの誕生日です。ポールは今年で80歳、ボリスは生誕120周年に当たる日です。これを機にポールの素晴らしい数々の音楽を聞き、またボリスの残してくれたDVD-BOXの3本(今日本で見られるボリスの作品は3作品だけ)を観てみることをお勧めします。ハッピー・バースデー・トゥ・ゼム!!

 さて、大島渚監督・共同脚本の1972年作品『夏の妹』をDVDで観ました。
 サイト「MOVIE WALKER PRESS」のストーリーに加筆修正させていただくと、
「夏休みも近い日、素直子(栗田ひろみ)の許に一通の手紙が届いた。大村鶴男という沖縄の青年からで、彼の父は、彼が小さい時死んだものだと思っていたが、最近、母から素直子の父菊地浩佑(小松方正)が鶴男の父らしいと知らされたというのである。そして夏休みには沖縄へ遊びに来てほしい、と結んであった。
 夏休みが来た。素直子は彼女のピアノの家庭教師で父が再婚しようとしている若い女性、小藤田桃子(りりィ)に鶴男のことを打ちあけ、鶴男を探しに二人で沖縄へ旅立つ。
姉妹のように仲むつまじい女同志の船旅。船中で二人は、桜田拓三という老人(殿山泰司)と知り合った。彼は戦前、戦中の沖縄への熱い憧憬と深い贖罪の念を抱き、誰か自分を殺してくれる相手を探しに沖縄へ行く、と言うのであった。
 やがて船は那覇へ着いた。そこで素直子は沖縄語を観光客に教えて金を稼いだり、ギターで流す一人の若い男(石橋正次)と知り合った。彼は、実は鶴男なのだが勿論お互いに気付かない。二人は親しさを増していった。兄妹のように、恋人同志のように。
 一方、桃子はホテルに届けられた鶴男から素直子宛の手紙を受取り、素直子に黙って、ひそかに鶴男に会った。鶴男は桃子を素直子と思い、また桃子は、鶴男に惹かれていき、人違いであることを告白出来なくなる。浩佑が沖縄にやって来て国吉に会い、又鶴男の母ツル(小山明子)とも再会していた。その席に照屋林徳(戸部六宏)が現れた。彼は名人といわれる琉歌の老歌手で、沖縄戦において体験した日本軍の残酷行為に深い怨みを抱き復讐の一念に燃えている男である。桜田拓三も同席した。殺されたい男、殺したい男桜田と照屋が対峙する。日本と沖縄の戦中、戦後史を貫く彼らの愛と憎しみと怨念が激しく葛藤する。桃子、素直子も加わり、一同に会した。そこで素直子はツルに問出すもはぐらかされる。
 翌日桃子は鶴男と会い二人は愛を交わす。その現場を素直子が物陰から目撃していた。桃子のバカヤロー、ギターのバカヤロー、鶴男を探しもしないであんなことを……素直子の瞳には大粒の涙が光っていた。
砂浜で浩佑たちが歓談していた。そこに素直子が現われる。遅れて現われた鶴男と桃子。そこで素直子はギターの青年こそが鶴男だと知らされる。昔話が始まる。浩佑は大学時代、親友の国吉(佐藤慶)から妹だといってツルを紹介され、国吉が学生運動で入獄中にツルを犯した。国吉は出獄してツルからそのことを聞き、彼もまたツルを犯した。男二人の間に座って、今は見事な女丈夫となったツルはもう心揺らぐことなく静かに微笑むのだった。翌日、浩佑と桃子がひと足先に帰京。素直子も帰京すべく鶴男に別れを告げる。船中から素直子は一隻の小舟に乗っている桜田と照屋を見た。「あいつらまた魚を釣ってお酒を飲むつもりだ」とあきれた素直子は立ち去る。小舟の上では二人が取っ組み合いを始め、そして桜田が照屋を海に投げ落とすのだった…。」

 見事な青春映画でした。