先日、いつものごとくCDショップをひやかしていた時にふと手に取ったのが、塩谷哲(しおのや・さとる)氏の「ホィーリン・アヘッド」です。
塩谷氏のプレイは、「オルケスタ・デ・ラ・ルス」で多少聞いたことはありましたが、そのほかではあまり聴いたことがありませんでした。
でも、その活発な活動ぶりは雑誌などでよく目にしていました。
最近では同じピアニストの小曽根真氏とのコラボレーションで評判になっているみたいですね。
その塩谷氏のピアノ・トリオ、どのような音楽を聴かせてくれるのかな。
興味を覚えたので、即、「買い」です。
ベースは吉野弘志氏、ドラムスは山木秀夫氏と、ラインナップも超強力。
あまりじっくり彼のピアノを聴いたことがなかったので、先入観抜きで聴くことができました。「いわゆる『コンテンポラリー・ジャズ』と言われているものなんだろうな」とは漠然と予想していましたけれど。
そしてやはり、「もしストレート・アヘッドなジャズを期待していたら肩透かしをくったような気になったかもしれない」と、聴いてみたあとで思いました。
優しい雰囲気の「この素晴らしき世界」で始まりますが、2曲目の「ティーン・タウン」から4曲目の「ミングル・ジングル」までの流れは息つく間もないほどのテンションの高さ。とくにラテン系の曲では「お手のもの」といったゆとりさえ感じられるんです。へんにリキんでないのがいいんですよね。それにしても、山木氏のドラムって、なんてグルーヴィーなんだろう。
5曲目と8曲目のややダークなバラードや、7曲目の「ナイトホーク」は、ジャズ・クラブなどで聴くのが似合っているかも。
9曲目の「ヒート・オブ・マインド」はエキゾチックなジャズ・サンバ調。こういう曲調って、やっぱり塩谷氏の得意とするところなんでしょうか。
最後はビートルズ・ナンバーの「ヒア、ゼア・アンド・エヴリホエア」で締めています。1曲目と呼応するように、バラード仕立てて演奏しているのがイキだなあ。
塩谷氏のピアノって、ごくナチュラルな感じがします。「こう弾かなければ」とか、「こうでなければならない」などという、「余分な力瘤」みたいなものが感じられないんですね。
ピアノ・トリオというフォーマットの上で「その時のありのままの塩谷哲」を出しているだけなんじゃないかな。だから聴いているぼくも、いつの間にか力が抜けて、楽に聴いていたんだと思うんです。
塩谷氏のほかの作品も聴いてみたくなりました。
◆ホィーリン・アヘッド!/Wheelin' Ahead!
■演奏
塩谷哲トリオ
■リリース
2004年4月21日
■録音
2003年9~10月 JVC青山スタジオ(東京)
■プロデュース
塩谷哲
■レコーディング・エンジニア
松本靖雄
■収録曲
① この素晴らしき世界/What a Wonderful World (Douglas-Thiele-Weiss)
② ティーン・タウン/Teen Town (Jaco Pastorius)
③ ファン・エクスプレス/Fun Express (塩谷哲)
④ ミングル・ジングル/Mingle Jingle (塩谷哲)
⑤ アナザー・テイル・オブ・ア・スター/Another Tale of a Star (塩谷哲)
⑥ ミスターD.F./Mr. D.F. (塩谷哲)
⑦ ナイトホーク/Nighthawk (塩谷哲)
⑧ ラ・プリュイ/la pluie (塩谷哲)
⑨ ヒート・オブ・マインド/Heat of Mind (塩谷哲)
⑩ ミスターD.F.(リフレイン)/Mr. D.F. (refrain) (塩谷哲)
⑪ ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア/Here, There and Everywhere (Lennon-McCartney)
■録音メンバー
塩谷哲(piano)
吉野弘志(bass)
山木秀夫(drums)
■レーベル
JVC
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>山木さんのドラム
>スゴイ人がスゴイというので
うむむむ。やっぱりそうですか~。すごいグルーヴ感なんですよね。スゴすぎますよね。
山木さんてある意味ミュージシャンズ・ミュージシャンですもんね。小島さんが「スゴイ」と言うならさらにいっそう目を離さないようにしなければ。
(^^)
>ナチュラルな感じ
同感です。リラックスして聴けますよね。
山木さんのドラム。先日、小島さんが「あの人はスゴイ」と絶賛しておりました。スゴイ人がスゴイというので、スゴイと思います(笑)。
今日発売といえば「ハンズ・オブ・グイード」ですか。これも山木さんが何曲かドラムを担当してるみたいですね。
女性ばかりが目立つ今の日本のジャズ・ピアノ界ですが、塩谷氏なんかが「男性陣代表」として頑張ってほしいところですね。