箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

看護師さんは、学校でも必要です

2021年04月20日 07時49分00秒 | 教育・子育てあれこれ
新型コロナウイルスの感染拡大で、看護業務にあたる看護師さんの尽力や苦労が注目されています。

今回のブログは、看護師のサポートを必要とする医療的ケアの児童生徒についての話題をとりあげます。

大阪府箕面市の場合、小中学校の支援学級には、学級数だけの支援学級担任(教員)が配置されています。

かつ、障害のある児童生徒の学校生活上の介助や学習サポートのための介助員(「支援教育介助員」)が市費で配置され、支援学級スタッフとして、支援学級担任と連携し、在籍児童生徒の支援にあたります。

なかでも、学校によっては、支援学級に医療的ケアが必要な児童生徒も在籍してます。

その子たちには看護師免許をもった介助員が配置され、医療的なケアにあたっています。今年度当初は、6校の小学校に12人の看護師が派遣されています。

わたしが以前教頭をしていた中学校には、小学校高学年の時、地域で交通事故に遭い、瀕死の重症を負い、その後一命を取り留め、入学してきた女子生徒がいました。

その生徒は、生命・生活維持のため、痰の吸引や経管栄養を注入する必要がある生徒でしたので、看護師免許を持つ介助員さんが行う介助をかたわらで見させてもらっていました。

余談ですが、あるとき通常学級の男子生徒が、片方の腕をガラスに突っ込み、大きく出血するという事故がありました。

養護教諭が不在時で、本務ではないのですが、たまたま居合わせたその看護師が、止血等の応急手当に当たりました。

さすがに、大量の出血にもひるむことなく、見事な手つきで、キビキビと対応されたことに深く感心したことを思い出します。

さて、医療的ケアに関しては、箕面市の場合、医療的ケアの必要な児童生徒の対応に当たる看護師の応募は多くなく、教育委員会は求人に苦心しているのが現状です。

このような現状があるので、箕面市の隣の大阪府豊中市では、今年の4月から医療的ケアを行う看護師を、市立豊中病院から安定的に小中学校に派遣する施策を始めました。

学校での看護業務は、病院勤務に比べ時間が短く、給与も少ないのが現状で、学校より病院で働くことを希望し、離職することが多いのが実情です。

そこで、この4月から豊中市では所属を病院の「地域医療連携室」に切り替え、教育委員会と併任できるようにしました。

これにより、通常は学校で勤務しますが、夏休みなどの長期休業中は病院で業務にあたることも検討しています。

給与は病院勤務の看護師と同じ水準にまで引き上げ、市が負担することになります。


全国的に、医療的ケアの必要な児童生徒のケアに当たる介助者は不足しています。なかなか看護師が集まりません。

そのため、保護者の付き添い登校を求める自治体も多くあるのが現状です。

そこで看護師免許を持つ人を確保するため、豊中市のように、病院の協力を得る自治体の取り組みがいくつかの地域で始まりつつあります。

インクルーシブ教育の理念に則り、医療的ケアの必要な児童生徒も、地域の学校に通えるための制度の充実拡大が望まれます。

ただ、制度が整えばそれでOKかといえばそうではありません。看護師を受け入れる学校の教職員側の意識向上も必要です。

看護師は子どもの健康状態をいちばんに考えます。教員は、どちらかといえば子どもの力をどう生かすかを重視する傾向があります。

そこで、意思の疎通がうまくいかない例も散見されます。

教員が、その相違点を理解する必要があるように思います。

学校では少数職種の教職員は少数派になり、学校で孤立しがちなのです。

看護師さんが孤立しないように、管理職をはじめ教員がサポートするしくみが必要です。


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