エミリー | |
マイケル ビダード | |
ほるぷ出版 |
エミリー・ディキンソンは今ではアメリカを代表する詩人です。2000編近くの詩が
たくさんの言語に訳されています。生前はたった10編ほどしか世に出なかったのに。
晩年の25年間はほとんど家から出ず、人が訪ねてきても隠れて会わなかったので
"なぞのひと"と呼ばれていたとか。上の絵本はそんなエミリーと一人の女の子の
密やかなひと時の交流を描いた、美しい言葉と絵のフィクションです。言葉の端
々にエミリーの詩が隠れていて、はっとさせられたり、いつも白いドレスを着てい
たというエミリーの清爽な様子や、例のネズミを追いかけたらしい猫たちをあち
こちに描いている絵など、絵と文のどちらの作者もディキンソンのことをよく調べ、
深く詩を読み込んでいるのがわかります。
この本の中にも、女の子がジンジャーブレッド(しょうが入りクッキーと訳され
ています)を食べる場面が出てきます。実際、エミリーは時々2階の部屋からジ
ンジャーブレッドを入れたバスケットを下ろして、子どもたちにふるまっていた
ようです。『エミリ・ディキンスン家のネズミ』の後ろについていたレシピを参
考にして、そのジンジャーブレッドを作ってみました。ブレッドとは言っても、
これはクッキーに近く、訳のように「しょうが入りクッキー」と言ったほうが当
たっているかもしれません。糖蜜(モラセス)がなくて、変わりに蜂蜜を入れた
ので白く仕上がりましたが、たぶんエミリーのもほのかにしょうがの香りのす
る、こんな感じのお菓子だったと思います。子供たちはさぞ喜んだことでしょう。
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