☆<MOVIX昭島>に行くと、チケット売り場の女の子たちが、全員、「ヤマト」のユニフォームを着ていたので、かなり度肝を抜かれた^^;
◇
「ヤマト」実写版が撮られると聞いて最初に起こった懸念などは全くない、映像技術的には海外SF作品に遜色のない出来の作品であった。
やはり、私も「ヤマト」が大好きなので、今回の、アニメ版に敬意を表する、あるいはオマージュを捧げるかのような作りに、冒頭から何度もホロリときた。
私は、前々から、アニメであっても実写であっても「ヤマト」をリメイクするときには、映画版のアニメ「ヤマト」の脚本を丁寧に踏襲すべきだとずっと考えていた。
映画版のアニメ「ヤマト」は、テレビ版のダイジェストでありながら、多くのエピソードを盛り込み、長い旅の演出を見事に行なっていた。
そのダイジェストの継ぎ目を整え、現代の技術、現代的な設定変更を素直に行なえば、傑作が出来たと考える。
だから、今回の実写版には、感心もあれば、不満もある。
主人公・古代進役の木村拓也は、演技はいつものキムタクだが、ルックスが古代に割りと似ていたので満足^^
ヒロイン・森雪のキャラクター改変だが、私は良かったと思う。
男勝りで、もう、女の子の普遍の魅力となりつつある「ツンデレ」なのだが、これが、物語の随所で、観ている私の気持ちをときめかせてくれる。
演じる黒木メイサは、松本零士キャラとはそぐわないエグい美女だが、やはり魅力的だ。
クライマックスだけでなく、キムタクとメイサの絡んでいる部分はステロタイプだが、妙に良かった。
でも、キスシーンには驚いたし、もういっちょキスしたのも驚いて、最終的に子供までこさえていたのにも驚いた^^;
そして、通信班長・相原の、女性への改変についてだが、マイコは大好きな女優なので全然構わない^^
以前、私の職場にメーテルに似た女がいると書いたが、その子はマイコにも似ていた。
だから、マイコの出演は、必然だろう^^
真田さんと指令長官は、いいキャスティングだ^^
斉藤や南部、加藤に山本もいいね!
山崎努の沖田艦長だが、ガンで死んだウチの親父にそっくりで、なんとも感慨深かった。
実写パートの演技陣、特殊効果ともに良かった。
◇
さて、不満点を記す。
ヤマト最大の兵器<波動砲>が、ヤマト出発直後にぶっ放されるのが、作劇的に間違っていると思った。
ここは、主砲でなくてはならなかった。
<波動砲>は最後の切り札である。
パルスレーザー⇒主砲⇒波動砲と、段階を追ってヤマトの強さを示していくのが、観る者の心を盛り上げるセオリーだろうよ。
現に、アニメ版では、主砲を用い、非常にドラマチックな結果を生んでいた。
また、明らかに<波動砲>の軽視が見られる。
<波動砲>はオーストラリア大陸ほどの対象を消滅せしめる兵器である。
ただのミサイルや敵艦に放つものではない。
せめて、大艦隊に向かって撃つべきものだ。
物語が明らかに、<波動砲>の、オール・オア・ナッシングになっていたのは痛い。
まあ、序盤で<波動砲>を撃ったことに、沖田艦長が「早くも、こちらの手の内を見せてしまった・・・」と呟いたので救われたが・・・。
なんにしても、今回の実写版では、スケール感がなかった。
先ず、14万8千光年の、ワープ航法を用いてもの数ヶ月の旅が、なんかニ,三週間のお手頃な旅になっちゃっている。
そうそう、「地球滅亡まであと○○日」の有名な台詞及びテロップも使われていなかった。
あれは、ヤマトの旅にはリミットがあると言う、物語の重要な要素だぞ。
いや、イスカンダルからもたらされたワープ技術が、この実写版では重要な意味を持っているという、実写版での改変ならばいいのだが、それならば、もっと説明が必要だ。
ガミラスは、いわゆる地球人と同じ文化・生物体系にある異星人でないという改変は分かったが、あまりにも、民族としてのスケールが小さい。
ヤマトは、数度の敵との遭遇で、イスカンダルにたどり着いてしまう。
ガミラス軍、スカスカである^^;
物語の序盤では強調されていた、ヤマトの航海の困難さが、物語の進行とともに消えていく。
また、明らかに戦闘シーンでの、敵艦隊のカット挿入による描写が不足している。
だから、敵のミサイル攻撃を受けていても、ヤマト側が「ウワーッ!」「グワッ!」とか悲鳴をあげて飛ばされて、なんか一人被害芝居をしているようなシーンが多いのだ。
波動砲を受けて溶ける敵艦の描写もなく、遠目に大爆発が見えるだけだ。
アニメ版を詳細に勉強し、この作品を作れば、このような「手落ち」はないはずなのだが・・・。
二重惑星であったガミラスとイスカンダルを、ニ分割惑星にしたのも自然科学的におかしいだろう・・・^^;(まあ、『999』世界ならあり得るけど・・・)
さらに、この作品の作り手は、「ヤマト」を作り、それを継続させることに焦りを覚えているみたいだ。
アニメ続編の「さらば宇宙戦艦ヤマト」の斉藤・真田・徳川さんらの死を描くのはまだいいとしても、「ヤマト」シリーズ最大の感動シーンである沖田艦長永眠シーンを蔑ろにして、「さらば」の特攻シーンまでも詰め込んだのは欲張りすぎで、感動も何もあったもんじゃない。
今回の実写版をガミラス篇できっちりと描き込み、続編で白色彗星篇を描けば、邦画史に残る二部作にもなり得ただろうに・・・。
◇
冒頭の、最後の地球艦隊を全滅させられ敗走する沖田艦をかすめて地球に降り注ぐガミラスの遊星爆弾など、見事なシーンも見られたし、
ああ、この作品、何でもっと深いところまで潜らないで、安易な息継ぎで顔を出してしまったのか・・・、
惜しい作品である。
でも、もう一回、観に行きたい^^
(2010/12/01)
◇
「ヤマト」実写版が撮られると聞いて最初に起こった懸念などは全くない、映像技術的には海外SF作品に遜色のない出来の作品であった。
やはり、私も「ヤマト」が大好きなので、今回の、アニメ版に敬意を表する、あるいはオマージュを捧げるかのような作りに、冒頭から何度もホロリときた。
私は、前々から、アニメであっても実写であっても「ヤマト」をリメイクするときには、映画版のアニメ「ヤマト」の脚本を丁寧に踏襲すべきだとずっと考えていた。
映画版のアニメ「ヤマト」は、テレビ版のダイジェストでありながら、多くのエピソードを盛り込み、長い旅の演出を見事に行なっていた。
そのダイジェストの継ぎ目を整え、現代の技術、現代的な設定変更を素直に行なえば、傑作が出来たと考える。
だから、今回の実写版には、感心もあれば、不満もある。
主人公・古代進役の木村拓也は、演技はいつものキムタクだが、ルックスが古代に割りと似ていたので満足^^
ヒロイン・森雪のキャラクター改変だが、私は良かったと思う。
男勝りで、もう、女の子の普遍の魅力となりつつある「ツンデレ」なのだが、これが、物語の随所で、観ている私の気持ちをときめかせてくれる。
演じる黒木メイサは、松本零士キャラとはそぐわないエグい美女だが、やはり魅力的だ。
クライマックスだけでなく、キムタクとメイサの絡んでいる部分はステロタイプだが、妙に良かった。
でも、キスシーンには驚いたし、もういっちょキスしたのも驚いて、最終的に子供までこさえていたのにも驚いた^^;
そして、通信班長・相原の、女性への改変についてだが、マイコは大好きな女優なので全然構わない^^
以前、私の職場にメーテルに似た女がいると書いたが、その子はマイコにも似ていた。
だから、マイコの出演は、必然だろう^^
真田さんと指令長官は、いいキャスティングだ^^
斉藤や南部、加藤に山本もいいね!
山崎努の沖田艦長だが、ガンで死んだウチの親父にそっくりで、なんとも感慨深かった。
実写パートの演技陣、特殊効果ともに良かった。
◇
さて、不満点を記す。
ヤマト最大の兵器<波動砲>が、ヤマト出発直後にぶっ放されるのが、作劇的に間違っていると思った。
ここは、主砲でなくてはならなかった。
<波動砲>は最後の切り札である。
パルスレーザー⇒主砲⇒波動砲と、段階を追ってヤマトの強さを示していくのが、観る者の心を盛り上げるセオリーだろうよ。
現に、アニメ版では、主砲を用い、非常にドラマチックな結果を生んでいた。
また、明らかに<波動砲>の軽視が見られる。
<波動砲>はオーストラリア大陸ほどの対象を消滅せしめる兵器である。
ただのミサイルや敵艦に放つものではない。
せめて、大艦隊に向かって撃つべきものだ。
物語が明らかに、<波動砲>の、オール・オア・ナッシングになっていたのは痛い。
まあ、序盤で<波動砲>を撃ったことに、沖田艦長が「早くも、こちらの手の内を見せてしまった・・・」と呟いたので救われたが・・・。
なんにしても、今回の実写版では、スケール感がなかった。
先ず、14万8千光年の、ワープ航法を用いてもの数ヶ月の旅が、なんかニ,三週間のお手頃な旅になっちゃっている。
そうそう、「地球滅亡まであと○○日」の有名な台詞及びテロップも使われていなかった。
あれは、ヤマトの旅にはリミットがあると言う、物語の重要な要素だぞ。
いや、イスカンダルからもたらされたワープ技術が、この実写版では重要な意味を持っているという、実写版での改変ならばいいのだが、それならば、もっと説明が必要だ。
ガミラスは、いわゆる地球人と同じ文化・生物体系にある異星人でないという改変は分かったが、あまりにも、民族としてのスケールが小さい。
ヤマトは、数度の敵との遭遇で、イスカンダルにたどり着いてしまう。
ガミラス軍、スカスカである^^;
物語の序盤では強調されていた、ヤマトの航海の困難さが、物語の進行とともに消えていく。
また、明らかに戦闘シーンでの、敵艦隊のカット挿入による描写が不足している。
だから、敵のミサイル攻撃を受けていても、ヤマト側が「ウワーッ!」「グワッ!」とか悲鳴をあげて飛ばされて、なんか一人被害芝居をしているようなシーンが多いのだ。
波動砲を受けて溶ける敵艦の描写もなく、遠目に大爆発が見えるだけだ。
アニメ版を詳細に勉強し、この作品を作れば、このような「手落ち」はないはずなのだが・・・。
二重惑星であったガミラスとイスカンダルを、ニ分割惑星にしたのも自然科学的におかしいだろう・・・^^;(まあ、『999』世界ならあり得るけど・・・)
さらに、この作品の作り手は、「ヤマト」を作り、それを継続させることに焦りを覚えているみたいだ。
アニメ続編の「さらば宇宙戦艦ヤマト」の斉藤・真田・徳川さんらの死を描くのはまだいいとしても、「ヤマト」シリーズ最大の感動シーンである沖田艦長永眠シーンを蔑ろにして、「さらば」の特攻シーンまでも詰め込んだのは欲張りすぎで、感動も何もあったもんじゃない。
今回の実写版をガミラス篇できっちりと描き込み、続編で白色彗星篇を描けば、邦画史に残る二部作にもなり得ただろうに・・・。
◇
冒頭の、最後の地球艦隊を全滅させられ敗走する沖田艦をかすめて地球に降り注ぐガミラスの遊星爆弾など、見事なシーンも見られたし、
ああ、この作品、何でもっと深いところまで潜らないで、安易な息継ぎで顔を出してしまったのか・・・、
惜しい作品である。
でも、もう一回、観に行きたい^^
(2010/12/01)
実写版ならではの設定の改変はそれはそれで良かったと思っています。
私のイメージだと濃い目のメイサより透き通るようなマイコの方が雪なんだけど、もちっとマイコが売れてたらなぁ。^^;
ギバちゃんの声が青木さんに驚くほど似てるのと、デスラーの声に伊武雅刀さんが出てくれたのが嬉しかったのだけど、伊武さんはあの当時より役者として成功してるんで、今じゃ聞くとあのハゲの悪人面が浮かんできてしまいました。(笑)
最後詰め込んじゃったのも同感です。最初に古代守までだしてきっちりプロローグ描いたわりに、最後は時間がなくなって駆け足になっちゃったみたいな…^^;
それでも何とか沖田艦長の名セリフを入れてくれたところにこの作品のヤマトへのオマージュを感じます。^^
明らかに最初から戦死フラグが立っていた第三艦橋の安藤くんですが、彼は新米(あらこめ)って役名にしたら、ファンは喜んだはずなのに。
太田役ならば、私、喜んで演じたかったのに出てなかった。
今、物語を反芻しているのですが、いろいろ工夫をこなしているのが分かります。
最後のアンチ放射能森雪は、反物質体のテレサをイメージしているんですねo(^-^)o
アンチ放射能森雪ですが、テレサ+スターシャ÷2みたいなキャラでしたよね。
役割からスターシャかな、っておもったんですが、テレサっぽくもありますね。
個人的にはあのラストがありえなさすぎて満足とは言い難いんですが、本当に久々ヤマトを楽しめて嬉しかったし、難しい大作に挑戦してくれてありがとうという気持になりました、
>>個人的にはあのラストがありえなさすぎて
子供かな?
私は、あの特攻までやってしまったら、未来に繋ぐためにああするのもしょうがないかと。
>>満足とは言い難いんですが、本当に久々ヤマトを楽しめて嬉しかったし、難しい大作に挑戦してくれてありがとうという気持になりました。
同感です。
イスカンダル行きの中で、反射衛星砲や波動砲コロナ吹き飛ばしも盛り込んで欲しかったにゃあ^^
特攻は古代ではなく別の人だったと思います。
主役は古代なんでしょうがないですが、古代に特攻行かすためにその別の人をはやめに死なせた感がなんだかなぁ、と。
なんで、あんなに詰め込んだのでしょう。
じっくりと沖田艦長の最期を描けば、かなり余韻が残る作品になったのになぁ。
ところで、沖田艦長の名台詞「ばかめ」は、違うシーンで使われていましたね^^
あらためて、百人百様の「ヤマト」があるのだと感慨を催します。
映画自体は完全初心者にはちょっと荷が重いし、ヤマト・ワールドに(寛容なる)思い入れがあって、しかもキムタクを許せる人向けかもしれないと思いました。
*蛇足です:善悪表裏イスカンダル/ガミラス星は、朝日ソノラマ文庫・石津嵐『宇宙戦艦ヤマト』のコンピュータ惑星の設定の変形なのですね。
>>映画自体は完全初心者にはちょっと荷が重いし、ヤマト・ワールドに(寛容なる)思い入れがあって、しかもキムタクを許せる人向けかもしれないと思いました。
初心者にとっては、思い入れがない分、キムタクも出てるし、よくある大作として楽しめたかも^^
私は、『ハウル』のキムタクも、特に問題なしとした男でやんす^^;
最後の話は、ちょいと知っ得情報ですなぁ^^
なんと、映画館に結婚してから(約20年強)2回くらいしか行ってないうちの亭主まで「行きたい・・」とか言ってるのに、驚愕。
あたしみたいなスチャラカで見ていた人は、半端な気持ちで見ちゃいけない!映画だったのかも・・・と、思った次第であります!
などという御託は置いて、いちばん不満だったのは、遠い遠い旅路の果て・・・というイメージが表されてなかったことでしたかねえ。
なにはともあれ、そんな思い入れが山のように降り注ぐ映画をよくぞ作ったもんだという勇気をほめたいと思いますw。
そして、この作品を検討すればするほど、オリジナルの設定の見事さが浮き上がってきます。
軍艦ヤマトを現在(作品中未来)に甦らすのに、波動砲と言う概念を何で付け足せたんだろう?
とか、
第三艦橋を何で思いついたのか?
など、その他、当時から現在まで新鮮なセンス・オブ・ワンダーが詰まっています^^