人は歳を重ねれば好みが変わる。
食べ物しかり、
女の好みしかり、
そして氷室京介の楽曲しかり。
先日、久しぶりのシングル『BANG THE BEAT』を発売した氷室だが、
その曲の、狂ったようなヘビーローテーションとは別に、
最近、物凄くお気に入りの1曲がある。
それは、アルバム「I・DE・A」に入っている『SWEET MOTION』だ。
まるで冬の季節の白い息が見えるかのような、
氷室独特の凍りつくような低音ボイスのボーカル、
それを生かしたアレンジ、
スティーブが奏でる鋭利な音のギター、、
そして2:01で聴こえる金属が擦れるような「冷たく機械的な音」。
一瞬で終わるその音が魅せるスイート・モーションでの存在感。
たったあれだけの音なのに、
その凍りつくような世界観を瞬時にして魅せ、そして広げている。
一体あの音は誰のアイデアなのだろうか。
その繊細なセンスに脱帽する。
何故このアルバムが発売した当時は、
この曲の良さが分からなかったのだろう、、
と、自分で自分を疑問視してしまう。(スティーブが作曲したからとかではなく)
人は好みが変わるとは言えど、
決して過去に好きだった曲を嫌いになるというわけではないのが氷室曲の特色だろう。
つまりは、年月を積み重ねれば積み重ねるほど、
その説得力が確たるものになっていくというのが氷室京介が魅せる楽曲なのではないだろうか。
そして、そこに、新たに積み重ねられた『BANG THE BEAT』。
そう、
さらにその説得力が揺るぎないものになった証しこそが、
『BANG THE BEAT』という曲なのではないだろうか。
ある時にある人は言った。
「氷室の代表作をひとつ挙げるとしたら、これを挙げる人は少ないだろうが、
このアルバムが無かったとしたら、氷室は氷室たりえなかったと思う」
アルバム「I・DE・A」を語る上でこれ程までに的確な言葉はないだろう。
そう、
I・DE・Aを聴かずして氷室京介は語れない。