みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

「イクメンプロジェクト」厚労省の育休普及/増えるか、イクメン 改正育児・介護休業法施行

2010-08-01 06:54:51 | ほん/新聞/ニュース
男性の育児参加うながすために、6月30日に施行された「改正育児・介護休業法」。

まずは厚生労働省みずからが率先しようと、法改正にあわせて
「イクメンプロジェクト」を立ち上げた。

約400人が名乗りをあげたそうだけど、定着するにはまだまだか。

子どもは日々生まれ育っているのに、子育ては母親の仕事になっている。

まったなしの現状を変えるには、パートナーのいる男性の「意識改革」より、
単身で子育てしながら働く女性をささえるためのシステムを変える「制度改革」だろう。

厚労省の育休普及のHP「イクメン宣言」400人超す
(2010年7月31日 読売新聞) 

「妻の負担を実感」
 育児に積極的にかかわる男性「イクメン」を増やそうと、厚生労働省が「イクメンプロジェクト」を開始した。

 同省ホームページ(HP)上で「イクメン宣言」する男性を募り、社会の意識改革を促すのが狙い。宣言した男性は6月中旬のHP開設以降、今月29日までに417人。男性の育児休暇取得率が1・72%と低迷する中、先月施行の改正育児・介護休業法に合わせた作戦だが、効果のほどは――。

 〈育休生活の楽しさ、大切さを伝えます〉。東京都内の情報システム会社課長代理の堀川佐渡さん(39)は6月、HPで宣言した。午前5時半に起きて洗濯機を回した後、次男(2)を保育園に送り、午後5時に会社を飛び出して迎えに行く毎日だ。
 営業畑を歩み、深夜の帰宅が多かった堀川さんが育休を取ったのは次男誕生後の08年1~4月。長男(8)の時に共働きの妻から「家事、育児の『メーン担当』のしんどさが分かる?」と言われ、危機感を抱いていた。
 職場復帰した妻と入れ替わりの育休生活は、3時間ごとのミルクにオムツ替え、掃除洗濯、次男をおぶっての食事の支度と目の回るような忙しさ。話し相手がいないため、帰宅した妻に子供の様子などを矢継ぎ早に話した。「妻の負担を痛感した。楽しかったけど、3か月だからもったのかも」
 復職後は希望して、子育てや介護を抱える社員の活用を担当する部署に異動。定時に帰宅するため、通勤中もメールをチェックする。
 直属の上司は「仕事と子育ての両立で、男性だけでなく女性にも希望を与えている」と評価するが、「『仕事を他人に任せて育休なんて無理』と、あきらめている男性が多い」とも話している。
 改正育児・介護休業法 父母両方が育休を取る場合、期間を従来より2か月延長して子供が1歳2か月になるまでとした。また、妻の出産後、8週間以内に育休を取った父親は再度の取得が認められることなども盛り込んだ。

意識改革促す
 イクメンプロジェクトでは、男性の育児参加を進めるNPO法人代表や大学教授ら男女7人に推進チームのメンバーを委嘱。企業の子育て支援の取り組みを紹介したり、毎月1人の「イクメンの星」を選んだりしていく。
 同省の調査では、休日に男性が家事・育児を4時間以上行う家庭は、行わない家庭に比べ、第2子の出生割合が3倍以上。同省は、男性の育休取得は、職場での女性の力を引き出し、少子化対策の効果も大きいため、結果的に社会の活力アップにつながると期待する。
 同法改正作業と今回のプロジェクトに携わり、自身も昨秋、1か月の育休を取った同省職業家庭両立課の山口正行・課長補佐は「育休取得後、いかに自分が仕事のことしか考えていないかが分かり、視野が広がった。法改正とプロジェクトで、職場や社会の雰囲気が変わってほしい」と話している。

日本は低調1.7%
 ノルウェー89%、スウェーデン78%、オランダ18%――。制度が異なるため単純比較できないが、欧州各国の男性の育休取得率と比べると、日本の1・72%の低さが際立つ。
 三菱UFJリサーチ&コンサルティングが08年、育休などを取得しない理由を男性約600人に複数回答で聞いたところ、〈1〉職場に迷惑がかかる(50%)〈2〉取る必要を感じない(34・9%)〈3〉家計への影響(27・4%)の順だった。埼玉大教育学部の首藤敏元教授(発達心理学)は「男性の育休取得を促す改正法のメッセージは明確だが、取得期間は十分ではない。育休制度を積極的に社員に知らせていない企業も多く、子供が生まれたことで『今まで以上に働こう』と思う男性もいる。企業と個人双方の意識改革が必要」と話す。
(2010年7月31日 読売新聞)  



「イクメンプロジェクト」サイトを開設しました  

厚生労働省は、男性の子育て参加や育児休業取得の促進等を目的とした「イクメンプロジェクト」を、父の日(6月20日)に先立ち、2010年6月17日より始動いたしました。

「イクメンプロジェクト」とは、働く男性が、育児をより積極的にすることや、育児休業を取得することができるよう、社会の気運を高めることを目的としたプロジェクトです。昨今は育児を積極的にする男性「イクメン」が話題となっておりますが、まだまだ一般的でないのが現状です。改正育児・介護休業法(2010年6月30日施行)の趣旨も踏まえ、育児をすることが、自分自身だけでなく、家族、会社、社会に対しても良い影響を与えるというメッセージを発信しつつ、「イクメンとは、子育てを楽しみ、自分自身も成長する男のこと」をコンセプトに、社会にその意義を訴えてまいります。

厚生労働省では、「イクメン」をより幅広くPRしていくため、「イクメンプロジェクト」サイトを立ち上げました。サイトでは、広く国民の皆様より、「イクメンの星」の公募や、「イクメン宣言」、「イクメンサポーター宣言」を募ります。「イクメンの星」は、応募者の中から、「イクメンプロジェクト推進チーム」の厳選なる審査の上、毎月一名を選定していきます。サイトについては以下よりアクセスしてください。

イクメンプロジェクトサイト  http://www.ikumen-project.jp 

<問い合わせ先>

厚生労働省 雇用均等・児童家庭局

職業家庭両立課 企画係

電話(代表)03-5253-1111(内線)7856


育児・介護休業法の改正について(厚生労働省雇用均等・児童家庭局) a>


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夫婦互いに感謝 子の成長に感動 男の育休取得の本紙記者
2010年7月9日 中日新聞

 昨年一月、長女が生まれ、一年間の育児休業を本紙の男性記者として初めて取得した。慣れない家事育児の中で、わが子の成長に触れ、かけがえのない感動も味わえた。共働き夫婦が家庭と仕事を両立させるポイントも、少し分かった気がする。 (名古屋本社整理部・榎本真也)
 記者(30)が育休を取ったのは、同じ社で記者をしている妻(33)の産休明けの昨年三月から今年二月まで。仕事を離れる不安を感じながらも、勤務を続けたいと願う妻の気持ちを尊重し、結婚時から「子どもが生まれたら、育休は自分が取ろう」と思っていた。
 育休に入ると、失敗続きだった。十分にミルクを冷まさず、哺乳(ほにゅう)瓶をくわえさせたときは、子どもが顔を真っ赤にして大泣き。おむつ交換の最中、おしっこをした子どもがはい回り、布団や畳、廊下まで尿浸しにしたことも。
 夕食では、火の通りの違いを考えず、同時に数種の野菜をいため、モヤシがぐったりしてしまった。一部の衣類をネットに入れずに洗ったときは、ごわついたシャツを見た妻に怒られた。
 掃除、子どもの入浴、食事、後片付け…と、やることが押し寄せてきて、余裕がない。家事に給料は出ないし、周囲から褒められることもない。子育て中のママが抱くという孤独感も味わった。
 支えられたのは子どもだった。「いない、いないばあ」をするときの娘の愛くるしい笑顔。思わず、ほほ笑んでしまう。寝返りを覚え、お座りをし、ハイハイ、立ち上がり、歩きだす。人間ってこんなにも生きようとする力があるのかと何度も心動かされた。
 妻の気遣いにも助けられた。朝起きると、「もう洗濯したよ」と声をかけてくれ、一つ何かをこなすと「ありがとう」の言葉。時には、街へ飲みに行く時間をつくってくれた。
 職場復帰した今も、料理や掃除を分担している。共に仕事を続けて子育てをするには、分担するしかない。どちらが育休を取るにせよ、事前に十分話し合いをしておいた方が納得できる。
 子どもの成長を見ながらの一年間は短かったものの、家族を意識する気持ちは格段に大きくなった。妊娠、出産、授乳といった体験のない男性が育休を取ることは、親になるための貴重な一歩になるはずだ。
 妻も「一年間、安心して仕事ができ、感謝している」とその労をねぎらう。「あえて夫を採点するなら、八十点。子どもの予防接種や保育園の情報収集などをもう少し頑張ってほしかった。こういう情報は、女性には横のつながりで自然と入ってくるものですが、男性は気付きにくいのかも」と話す。



  増えるか、イクメン 改正育児・介護休業法きょう施行
2010.7.5(6月30日付け 朝刊) 朝日新聞

 「イクメン」ってご存じですか? 育児に積極的な男性という意味で、国もそんな男性を後押しするキャンペーンを展開中だ。30日には改正育児・介護休業法が施行され、夫も育児休業を取りやすくなる。男性の意識や上司の理解など、まだ課題はあるものの、増えるか、イクメン――。(諸麦美紀、石村裕輔)
 「3カ月くらい、がっつり育休を取りたいんですけど」
 日本ヒューレット・パッカードに勤める一ノ関陽介さん(30)は昨年3月、妻の妊娠を伝えると同時に、思い切って上司にこう言った。上司は一瞬戸惑ったようにも見えたが、こう答えてくれた。「どうすれば取れるか、一緒に考えよう」
 仕事はコンピューターのシステムを構築するプロジェクトマネージャー。職場や顧客に迷惑がかかる。自分の評価も下がるかもしれない。でも、出産で負担のかかる妻をサポートしたいし、自分も育休を取ってみたかった。

 ●上司の理解カギ
 妻の言葉が背中を押した。「3カ月で評価が下がるなら、しょせんそれだけのキャリアってことだよね」
 上司の配慮で、育休に入るまでに終わる仕事を担当させてもらった。細かい引き継ぎなど準備に4カ月かけた。
 妻は10月に出産。正月明けに仕事に復帰し、一ノ関さんが今年1月に育休に入った。

 ●仕事にもやる気
 初めての寝返りや、笑い始める時期にも立ち会えた。育休を通じて、「娘という新しい家族との時間を得られた。働く意味も再確認でき、仕事のやる気も高まった」と言う。
 4月に復帰してからは、娘のお風呂に間に合うように帰ることを心がけている。「時間じゃなくて頭を使えって自分に言いきかせてます」
 同社の男性の育休取得率は5・07%。全国平均の4倍だ。法改正に合わせ東京と大阪で社員向け説明会を開くなど啓発に力を入れる。
 その狙いを人事統括本部の高橋健さんはこう話す。「中堅社員の多くがまもなく親の介護に直面する。全員フルタイムという働き方は無理になる。介護と違って育休は準備が出来る。社員も生き生きと働き、組織も持続的に成長するために、育休でその練習を積んでいきたい」

 ●足りぬ制度周知
 企業へのコンサルタント業務をおこなっている「ワーク・ライフバランス」(東京都)には、人事担当者から「もっと育休を取らせたいがどうすればいいのか」という相談が増えている。
 社長の小室淑恵さんが指摘するのは、制度の周知不足だ。育休期間中は育児休業給付として賃金の50%が支給されるが、そういう基本的なことを知らない社員も多い。育休マニュアルを女性だけでなく全社員の手に渡るようにすることが第一歩だ。
 また、社員自身が仕事の抱え込みをやめることも重要だという。「男性は自分が休む確率を低く見積もっており、ほかの人と情報を共有し、チームで仕事をするスキルを磨いていない」と小室さん。
 最大の壁は、働き方と仕事の評価の方法だ。欧米では人件費の高さを意識して短時間で高付加価値を生むことが求められる。だが、いまだに日本は長時間働くことが能力の評価につながる。「育休を取る人が増えるためには、同一時間内での生産性を評価する仕組みに変える必要があります。まず、部下を評価する管理職の価値観を変えなくてはなりません」

 ◇ポイントは 育休期間を延長・共働き以外も
 30日に施行される改正育児・介護休業法が柱に据えるのが男性の育児参加だ。
 例えば「パパ・ママ育休プラス」。これまで企業に義務づけていた育休が取れる期間は、子どもが1歳になるまで。この期間を、夫婦ともに育休を取る場合は1歳2カ月までに延長した。1歳まで妻が育休を取った後で夫が2カ月間育休を取れるわけだ。
 改正前は妻が専業主婦や育休中だと夫は育休を取れないとする労使協定を結ぶことができたが、改正後はできなくなった。
 同時に、原則として育休は1回しか取れなかったが、夫の育休については、妻の出産後8週間以内に取った場合に、1年2カ月以内ならばもう一度取れるようになった。妻の状況にかかわらず、夫が育休を取りやすくした。
 法改正の背景には深刻な少子化がある。出生率は1・37にとどまり、このままでは現役世代が減るばかり。育児の負担は妻に集中している。育児休業取得率は女性90・6%に対し、男性はわずか1・23%。夫の家事・育児時間が長いほど第2子以降の出生割合が高いという調査もある。
 こうしたイクメンを社会にアピールしようと、厚生労働省は今月、「イクメンプロジェクト」を立ち上げた。イクメン宣言をしてくれるお父さんたちをサイト(http://www.ikumen-project.jp)で募り、毎月1人を「イクメンの星」に選ぶ。イクメンを、一過性ではないムーブメントとして定着させたいという。



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