みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

よりよい事業仕分けを!/ 混乱、怒号・・主計局頼み~ヌエック(女性教育会館)は予算減額

2009-11-12 10:07:35 | 市民運動/市民自治/政治
3チームのワーキンググループに分かれての行政刷新会議による、
10年度予算の「事業仕分け」初日が終わった。
これから二週間かけて、残りの事業も判定する。

行政刷新会議「事業仕分け」作業スケジュール【11月12日(木)】

第一印象は、「政治のけしきが変わった!」

国民に見える形での「事業仕分け」実施という試みは評価するが、問題点もたくさん見えてきた。

まずは、評価基準が明確でないこと。

わたしは、自治体議員むけの勉強会の講師もしていて、前回は「予算の流れ」をやったし、
つい先日は「政策編(政策立案から一般質問~政策評価まで)」で話したばかりだったので、
事業仕分けをどんな風にするのか、関心を持っていたが、
短時間で、一部の議員が億単位の事業の評価をするのは乱暴だなぁ、
ほんとにできるのかなぁ、と思っていた。

そしたら、今回、事前に「論点ペーパー」なるものが、財務省の主計局から準備されていて、
仕分け人はそれを参考に質問した、という報道がある。
今回の447事業は全体の15パーセントだというが、これらはすでに財務省のフィルターがかかったものばかり。

いずれも専門的知識が必要なものばかりなので、省庁からの事前レクチャーはあったと思うが、
せめて、「仕分け人」が、現場に足を運ぶとか、
独自に調査する時間をとるとか、最低限の予算と時間は必要だ。

今回、仕分けを公開するために「ネット中継」をとりいれたが、
経費を節減するために、300人しかアクセスできないシステムでパンク寸前だったとか。
これでは本末転倒、「情報公開」の、アリバイ作り、だとしか思えない。

無駄な事業は、どこかで見直しは必要だけれど、そのプロセスを丁寧にしないと、
必要な政策が、財政的観点のみで「ムダ」と切り捨てられることもあるだろう。

つぎに「仕分け人」の顔ぶれ。

仕分け人をえらぶ段階で、民主党では「新人議員をはずす」というごたごたもあったが、
議員としての仕事をするために、女性議員がたくさん当選したのではないのか。
「民主党の古参議員」だけでは、偏っているのではないかと 率直に思う。
そんな議員たちがたった一時間で事業の是非を判断するのは、
ちと公正さに欠けるのではないか。
それに、議員(特有)の高圧的なもの言いも気になった。

民間人も、「著名な学者」でなくてもよいので、
そのテーマに詳しい現場の当事者を入れるとか、できないものか。

仕分け人は、議員はもちろん民間人も、政治の世界の「ジェンダー」を反映して、圧倒的に「男」が多い。
議員と民間人の比率に配慮するくらいなら、女性をもっとふやすこともできるのではないか。

新政権が、女性差別をなくすことを、本気で政策の重点課題にするつもりなら、
「ジェンダー公正」は、まずは、スタートの「事業仕分け」からでしょう。

などなど、思うことは多いけれど、「事業仕分け」はじまったばかり。

試行錯誤を繰り返し、よりよい方向に修正しながら、納得できる結論を導いてほしい。


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 主計局頼みの『圧縮』 事業仕分け始まる
2009年11月12日 朝刊 東京新聞

 十一日に始まった行政刷新会議による「事業仕分け」は、対象となった事業の多くが「廃止」や「予算縮減」と結論づけられ、予算圧縮を進めたい鳩山内閣にとって上々の滑り出しとなった。しかし、この日、議論をリードしたのは財務省主計局。脱官僚を掲げるものの、時間的、人的な制約から主計局に頼らざるを得ない鳩山内閣と、予算圧縮を強力に進めたい主計局の思惑が一致した形となっている。 (清水俊介)

 事業仕分けはまず、要求側の省庁が事業の必要性を説明。その後、財務省の主計官が査定担当として、削減の必要性を説明し、議論が始まる。
 「(厚生労働省の健康増進対策費は)国がする必要があるのか」
 「(農林水産省の田園整備事業の)新規施設整備は不要ではないか」
 主計官の説明は、膨張した予算の概算要求をとにかく削り込みたい行政刷新会議側にとって、心強い言葉のオンパレードだった。
 この日の作業には、仕分け対象事業の目的や予算額が記載された「施策・事業シート」とは別に、主計局が作成した「論点等説明シート」も配布された。
 ある主計官は「通常の査定にあたり、要求官庁に対して投げかける疑問点などをまとめた」と打ち明ける。このような論点ペーパーを同省が公表することは珍しく、効果は絶大だった。
 仕分け人らから投げかけられる質問の多くは“主計官による視点”。論点ペーパーに挙げられた個別の施設名や数字を参考にして質問する仕分け人が多く、議論をリードしたのは実質的に論点ペーパーとも言えた。
 財務省幹部は「こちら側が紙を出したから、議論がスムーズに進んだ」と振り返る。事業仕分けに参加した主計官は「ここで出た決定は当然、重い」と、財務省にとって、刷新会議の“お墨付き”を得たことに満足そうだった。 



 事業仕分けのネット公開、パンクの危機免れる
(2009年11月11日 読売新聞)

 11日に始まった政府の「事業仕分け」。作業の過程をすべて公開するという原則を打ち出し、会場での傍聴を可能にしたほか、インターネットでの生中継も行っている。
 ところが、この中継システムは同時に視聴できる人数の設定が計300人だったにもかかわらず数千人もの接続が集中。システムを委託された業者が独自判断で、接続可能人数を大幅に引き上げていたことから大きな混乱は免れたが、「公開をうたいながら見込みが甘い」との批判も出ている。
 事業仕分けの会場となった国立印刷局体育館(東京・市ヶ谷)。作業は三つのグループに分かれ、午前9時半過ぎから始まった。この模様は、グループごとに設置された固定カメラがとらえ、インターネットを通じて生中継された。

 ◆委託業者の機転で◆
 業者との契約では、中継システムは、同時に視聴できる人数が各グループ約100人に設定されており、行政刷新会議事務局の担当者は「同時接続数が各100人を大幅に超えると、見られなくなる可能性もある」としていた。
 実際、11日には設定を大幅に上回る数千人がアクセス。システムを委託された業者が、独自の判断で接続可能人数を大幅にアップしていたため、パンクは免れた。
 ネットによる生中継は国会審議でも行われているが、衆議院では約4800人、参議院でも約1500人の同時接続が可能という。

 ◆「自らムダ」批判を恐れ◆
 内閣府によると、中継システムの費用は約349万円。同事務局は「対応可能な人数を増やせばコストがかかる。しかし、実際の接続数が少なければ、『ムダ削りが使命なのに自らムダを出した』と批判されかねないと考えた」と説明する。
 新海聡・全国市民オンブズマン連絡会議事務局長は、「各100人程度の接続しか想定していないのでは、『情報公開しています』という宣伝に使っただけと言われても仕方がない。お粗末すぎる」と話している。

 ◆音声レシーバー不足も◆
 「事業仕分け」の会場では、傍聴者のために用意された音声レシーバーが足りなくなるトラブルも起きた。
 事務局では、事業を説明する省庁側と事業仕分け人用に計100個、傍聴者用に300個の計400個を準備していたが、予想を上回る傍聴者が訪れ、作業の始まる午前9時半にはレシーバーを待つ行列ができ、中にはやりとりを聞けないために帰った傍聴者もいた。
(2009年11月11日15時56分 読売新聞)


仕分け結果の詳報 (2009.11.11 共同通信)


嵐山町の『女性教育会館』 予算減額と判定
2009年11月12日 東京新聞

 政府の行政刷新会議が、二〇一〇年度予算概算要求の無駄を洗い出す「事業仕分け」をスタートさせた十一日、県内関係では、独立行政法人「国立女性教育会館」(嵐山町)が予算減額と判定された。今後は、独立行政法人「国立保健医療科学院」(和光市)の仕分けも行われる。
 国立女性教育会館は自治体職員や教員、女性団体などが男女共同参画を学ぶ施設。
 所管する文部科学省によると、減額が決まったのは、同会館への運営費交付金(概算要求額六億二千万円)。仕分け作業では、同会館の宿泊施設が本来の学習目的ではなく、敷地内のテニスコートなどを目当てに一般の人が多く利用している実態などが問題視されたという。減額幅は今後検討される。
 一方、国立保健医療科学院は、保健医療や生活衛生を担当する自治体職員らへの研修などを行う機関で、〇二年に設置された。同院によると、研修事業の「養成訓練および試験研究に必要な経費」(概算要求額六億三百万円)が仕分け対象となった。
 同院は「刷新会議による事前ヒアリングや視察では、事業のどこが無駄なのか具体的な説明はなかった」と困惑している。
 概算要求では、新型インフルエンザ対策の研修を新たに盛り込んだという。同院は、仕分け人に対して「地域の公衆衛生のリーダー養成のために必要だと説明し、理解を得たい」と話している。
 (杉本慶一)



 ドキュメント・鳩山予算:事業仕分け初日 1項目、1時間の議論で断
毎日新聞 2009年11月12日 東京朝刊

 ◇衆人環視、厳しい質問--「私の話聞いて」声荒らげる説明者
 「結果を発表します。廃止すべき9人、地方・民間に移管すべき2人、内容の見直しを行うべき3人。よってこの事業は廃止すべきと結論しました」
 11日に始まった10年度予算の「事業仕分け」。三つの作業部会に各10人強の「仕分け人」が配置され、1項目あたり1時間の議論で、事業廃止や大幅な予算縮減などを次々と決めていく。公開の場で厳しい質問にさらされ、説明者側の官庁や独立行政法人の担当者らは、顔色を失った。
 「私の話も聞いてください。一方的に質問されるばかりで心外です」。説明者席に座った独立行政法人「国立女性教育会館」の神田道子理事長が声を荒らげた。1000万円を超える役員報酬や、研修事業の効果を疑問視する意見が仕分け人から相次ぎ、我慢できなくなったためだ。仕分け人は「地方に同じような施設がたくさんあり、国が運営する意味は無い」と指摘。独法側は「地方は財政難で、条件整備をしなければ地方に事業は引き継げない」と反論したが、評決では大幅な予算縮減とされた。
 「初めに結論ありきだ」。国土交通省の職員は、参加者に会場で配られた資料に、「実施する必要性が乏しい」など財務省の意見が「論点」として記載されているのを見つけ、気色ばんだ。担当省は仕分け人とは事前接触できず、1時間の議論の場だけが勝負。その議論が、財務省の意見に主導されて進むことを怒ったのだ。
 会場となった東京都新宿区の国立印刷局市ケ谷センター体育館には、強い雨にもかかわらず傍聴人が大勢詰めかけ、午前9時半の仕分け作業開始時には傍聴用の300席は満席、立ち見も出た。行政刷新会議事務局は、議論が聞きやすいよう無線のレシーバー約400個を用意したが、数が足りなくなるなどの混乱もあった。
    ◇
 鳩山政権初の予算編成作業は、前政権の慣例や常識を否定して政治主導で進むが、戸惑いやあつれきも生んでいる。年末の予算編成に向けた動きをドキュメントで追う。【坂井隆之、赤間清広】

==============
 ■11日の事業仕分けの結果
 ▼廃止
<国交省>国土・景観形成事業推進調整費(200億円)<農水省>農道整備(168億円)▽里山エリア再生交付金(84億円)▽田園整備(6億円)<厚労省>健康増進対策費(1.8億円)▽若者自立塾(3億円)<文科省>子どもの読書活動推進事業と子どもゆめ基金(23億円)▽英語教育改革(8億円)▽学校ICT活用事業(7億円)

 ▼見直し
<国交省>道路整備事業=直轄・補助=(1.3兆円)▽河川改修事業=同=(1996億円)<厚労省>(独)雇用・能力開発機構運営費交付金等(937億円)▽診療報酬の配分・先発品の薬価見直しなど(9.3兆円)<文科省>放課後子どもプラン等推進(61億円)

 ▼予算縮減
<国交、農水省>港湾、漁港、海岸、河川環境整備(203億円)<文科省>(独)国立女性教育会館(6億円)▽スポーツ予算(59億円)▽(独)日本芸術文化振興会(116億円)▽芸術家の国際交流(32億円)<農水省>農業農村整備の一部(1985億円)

 ▼来年度は見送り
<厚労省>レセプトオンライン導入のための機器整備等の補助(215億円)

 ▼自治体や民間などへ移管
<国交省>下水道事業(5188億円)<文科省>(独)国立青少年教育振興機構(104億円)▽(独)教員研修センター(15億円)▽伝統文化こども教室事業など(22億円)▽農山漁村ふるさと生活体験など(6億円)
 注=金額は概算要求額。(独)は独立行政法人




 社説:事業仕分け開始 国民が「劇場」の監視役だ
毎日新聞 2009年11月12日 東京朝刊

 まるで「予算劇場」だ。中央省庁の事業の必要性がひとつひとつ傍聴人もいる会場で厳しく吟味され、次々と「廃止」や「地方移管」などの審判が下されていく。
 政府の行政刷新会議による事業仕分け作業が始まった。来年度予算編成を控え、447事業について民間の識者や国会議員らからなる3チームの仕分け人が公開の場で予算計上の要、不要などを判定する。
 来年度予算の概算要求が95兆円を突破する中、どれだけ予算を削れるかの総額に関心は集まりがちだ。だが、国民に開かれた作業で予算の透明度を高め、特に中央官庁の既得権益と絡んだ無駄に切り込むことが肝要である。
 鳩山内閣肝いりの事業仕分けの最初の焦点は、対象とする事業の選定だった。診療報酬、地方交付税、在日米軍の思いやり予算など「聖域」を設けず対象とする方針を刷新会議は打ち出した。制度改正が必要な分野で予算をただちに削ることは難しいかもしれないが、今後の改革に向け俎上(そじょう)に載せたことは賛成だ。
 概算要求の圧縮を鳩山内閣が迫られる中での作業である。だからといって、まるで魔法の杖(つえ)を持つように仕分け人に予算削減を期待することは適切であるまい。
 「仕分け」の意義は所管省庁の手を離れ、仕分け人が公開の場で客観的に費用対効果を論じる税金の使途の透明化にある。1チーム10人程度のメンバーが短時間の議論で本当に事業の必要性を見極められるか、確かに懸念はある。だが、インターネットで中継される作業を通じ仕分け人も「目利き」の熟練度が問われ、結果責任を問われる。予算の編成過程が国民から監視される意義は小さくない。
 国民が最も成果を期待しているのは独立行政法人への不透明な支出など、中央官庁の既得権益が絡む無駄の一掃だ。仕分け対象事業のラインアップを見る限り、この部分が踏み込み不足だ。作業に協力する財務省の筋書き通りなどと言われぬよう、「官」が痛みを感じる削減にこそ大なたを振るってほしい。
 また、国から地方への事業移譲を審判する際には、自治体の裁量を増し分権効果が期待できるかがポイントだ。地方に生じる費用負担の問題も重要だ。政府に新設される「地域主権戦略局」と連携して議論を進めることが望ましい。
 人前で説明がつかない予算はつけない--。こんな当たり前のことが財政規律の一歩なのかもしれない。仕分け作業終了後、刷新会議は予算計上の是非を最終判断する。その結果も含め、政府は国民に分かりやすく開示すべきである。
毎日新聞 2009年11月12日 東京朝刊



きょうは、「事業仕分け」二日目。
昨日の反省を踏まえ、仕分け人と官僚の「事業仕分け」の攻防がはじまる。


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1 コメント

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財務省の査定と事業仕分けについて (Jii-Jii)
2010-05-26 16:10:23
平成21年11月の事業仕分けは、平成22年4月からの予算案を対象としているのですか?
財務省の査定と事業仕分けが同時進行と考えて良いのですか?
とすれば、「概算要求」を取りまとめたものを仕分け人は真剣に勉強しなければなりません。
とすると政治家には無理だと思います。
官僚出身の議員でも時間的に困難です。やはり官僚と協議が必要と思います。
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