鹿児島県・阿久根市で、独断専行する竹原信一市長に対するリコール(解職請求)運動が始まった。
リコール(解職請求)は、地方自治法に定められた直接民主主義の制度で、
リコールの請求は、有権者の3分の一の署名で成立する。
その後、法に定められた手続の本請求を経て、住民投票が実施される。
わたしたちも、選挙ポスター代を不正取得した詐欺事件を起こしても、
社会的責任もとらず辞職もせずに公職に居座り続ける県議会議員のリコールに向けて、
明日20日にリコール請求を提出する。
その請求書などの書類の準備で、きょうはけっこう忙しかったのだけど、
先行する「阿久根市長リコール請求」について、紹介したい。
まず8月16日の中日新聞社説に、阿久根市の問題が取り上げられていた。
【社説】阿久根の混乱 議会も市民も問われる
2010年8月16日 中日新聞
独断的な専決処分を繰り返した鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が、ようやく臨時議会の招集を決めた。地方自治のあるべき姿について議論が深まれば、全国自治体の参考にもなるはずだ。
阿久根市は天草灘に面し、農漁業が主産業。人口は二万三千人余、予算規模は百億円余と、いずれも減少傾向が続く。
自衛官、市議を経た竹原市長は、財政難を打開しようと職員給与と議員定数の削減を公約に掲げ、一昨年八月に初当選した。
早々に、ホームページで職員の給与明細を公開し、ブログでは不人気議員アンケートを実施するなど、公約実現への動きを加速させた。そこには「急がば回れ」の発想はなかった。
議会で二度の不信任決議を受け失職したが、昨年五月の出直し市長選で再選を果たした。
改革に期待する市民から再びチャンスを与えられたものの、「嫌いなマスコミがいるから」と今年の三月議会を欠席し、六月議会も招集しなかった。
反市長派が多数を占める議会で、議案可決は見込めない。だから「議会はいらない」では困る。
竹原市長は議会を開かない約四カ月間に、職員賞与の半減、議員報酬の日当制、副市長の選任まで十数件を専決処分した。いずれも慎重審議が必要な案件なのに、である。
首長が改革を掲げて指導力を発揮することには大賛成だ。しかし、地方交付税を受けながら地方自治のルールを無視するような行動はどうだろう。
地方自治法の“欠陥”も指摘したい。議会招集を拒否する首長に対し、議会側には対抗手段がない。地方自治体は首長、議員とも有権者に選ばれた「二元代表制」だが、議長は議会招集権をもっていない。法改正も含め考えるべきである。
長野県軽井沢町、神奈川県開成町など約十の自治体で実施されている「通年議会」は、こうした問題を防ぐ仕組みでもある。阿久根市の臨時議会では専決処分の報告と採決にとどめず、自ら議会改革の議論を始めてほしい。
竹原市長再選の原動力は“草の根”で得た市民の支持だった。しかし一転、今度は市民が市長のリコールへ向け署名を始める。
阿久根市民はいま、市長を選ぶことの重要性を痛感している。市民の手による真の地方自治の在り方をぜひ見つけてほしい。
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このころから各紙に連日のように阿久根市の記事が載りはじめ、
けさの読売新聞のスキャナーにも、
特集記事が大きく出ていた。
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リコール請求運動は、受任者による署名集めが本格的にはじまったようだ。
住民投票の実現に必要な有効署名は、有権者約6700人分。
無効になる署名が出ることを見越せば、800人くらい必要だろう。
リコール賛成派と反対派による攻防が繰り広げられているそうたけど、
リコールは、有権者みずから「市民自治とはなにか」を考えるきっかけにはなるだろう。
署名集め・阻止街宣…阿久根リコール攻防過熱
(2010年8月19日 読売新聞)
阿久根市の竹原信一市長に対するリコール(解職請求)運動で、解職の賛否を問う住民投票に向けた署名活動が18日に本格的に始まった。
受任者と呼ばれる署名を集める人たちは、署名簿を手に各家庭を訪問。一方、市長を支持する人たちは街宣車を走らせリコール阻止を訴えている。住民投票の実現に必要な約6700人分の有効署名を巡る攻防が過熱している。
リコール運動を展開する「阿久根市長リコール委員会」の呼びかけに応じた受任者は現在約520人。17日夜に市内8か所で開かれた出発会で活動に必要な署名簿やボールペン、名札、朱肉を受け取り、18日朝から、担当地区の住宅などを精力的に回った。
受任者の男性(65)は、市が今年、改装工事を行った赤瀬川地区の市営住宅などを訪問。市政の混乱に苦言を呈し、「とにかく早く市長をやめさせないといけない」と積極的に署名に応じる人がいる一方、「神様のような人をなぜ辞めさせるのか」(70歳代男性)、「議会は自分のことしか考えていない」(30歳代女性)と拒否するケースもあった。
市役所近くにあるリコール委員会事務所には、受任者から代筆や訂正の方法を尋ねる電話も寄せられ、スタッフは「健康上などの理由で自筆が困難な人には代筆が認められている」「間違った個所に二重線を引けば良い」などと指示していた。
署名活動は9月17日まで。委員会では、集まった署名を定期的に集計し、署名数を公表する方針という。
一方、市長を支持する住民グループは18日午後3時から約2時間、市北部の脇本地区で街宣車を走らせた。
メンバーは「アクネ・レボリューション」(阿久根革命)、「阿久根が変われば日本も変わる」と書かれた青色のTシャツを着て車に乗り込んだ。畑作が盛んな同地区内を周回しながら「竹原市長の改革を止めてはなりません」「市長は市民の暮らしのために一生懸命頑張っています」などと訴えた。
農業、石原康徳さん(62)は「竹原市長が市民のために改革していることを多くの人に理解してもらいたい」と話した。街宣活動は今月から開始し、リコールの署名期間中は続ける方針という。
◇
リコール運動では、有権者の3分の1にあたる約6700人以上の有効署名を集めれば、年内にも住民投票が実施され、過半数の賛成で竹原市長は失職。出直し市長選が行われる。(尾谷謙一郎、中西瑛)
(2010年8月19日 読売新聞) |
鹿児島・阿久根市:市民団体、市長リコール書類提出 あすにも署名開始
毎日新聞 2010年8月16日
鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(51)の解職請求(リコール)に向けて、市民団体・阿久根市長リコール委員会(川原慎一委員長)は16日午前、市選管に必要書類を提出した。17日にも署名集めを始める。08年9月の竹原市長就任以来、混乱を繰り返した阿久根市政は新たな局面を迎える。
同委員会は「議会制民主主義を否定する独裁で、市政正常化の方法はリコールしかない」として、6月下旬から市内約80カ所で住民説明会を開催。署名集めに取り組む「受任者」を520人集めたという。請求には、1カ月間で有権者(2万18人=6月23日現在)の3分の1以上となる6673人の署名を集めることが必要。同委員会は8000人分を目指しており17日夜、市民会館など市内8カ所で「出発式」を開く。
専決処分で副市長に選任された仙波敏郎氏によると、竹原市長は16日「住民が市政に直接、関心をもっていただくことの一つの表れがリコール。結構なことだ」と話したという。
署名数が要件を満たせば、市選管の審査、署名簿縦覧などの手続きを経て早ければ11月に住民投票が実施される見通し。投票者の過半数が解職に賛成すれば、竹原市長は失職するが、出直し市長選への出馬は可能。
竹原市長は08年8月に初当選。ブログ上での「辞めさせたい議員アンケート」などが物議を醸し、市長不信任案が2度可決され、09年4月に失職。同5月の出直し市長選で再選された。その後、市職員の懲戒免職処分を取り消した裁判所の判断に約9カ月間従わず、議会招集を拒否して専決処分を繰り返して伊藤祐一郎知事から勧告を受けるなど、市政の混乱が続いた。【福岡静哉、馬場茂】
毎日新聞 2010年8月16日 |
少し遅れて、名古屋市でも、リコール請求運動が始まった。
こちらは、河村たかし市長と支援団体「ネットワーク河村市長」が一体となって、
名古屋市議会の解散を求めるもの。
17日に市選挙管理委員会にリコール(議会の解散請求)の署名集めに必要な解散請求書と
請求代表者証明書交付申請書を提出し、27日から署名を始めるそうだ。
自治体で強大な権力を持つ「長」が、住民に与えられた直接民主主義の手法を駆使する、
ということは、またちがう意味で「市民自治とはなにか」を考えさせられます。
二つの自治体の先行例を見ているると、
山県市の議員リコールの直接請求は、阿久根とも名古屋ともちがうリコールになりそうです。
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