おかげさまで生きてます

日々の暮らしのなかで

ぉーぃ

2007年06月30日 | 日記・エッセイ・コラム
苦手なことがある。

遠くから呼ばれること。

これはいまだに克服出来ない弱点のひとつだ。


「おーい!」

どこからともなく、僕を呼んでる声がする。

(どこだぁ!)

当たりを見回すと手を振る人影。
なぁ~に事だぁ!

これぐらいなら何ともない。

苦手なのは、聞こえるか聞こえないかの境い目、


「ぉーーぃ」

(あんっ? 誰か呼んでる??)

辺を見渡すが誰もいない。


「ぉぉーーーぃ!」

(だから誰? 空耳なのか?)


「ぅぉぉーーーーぃ!!」

ぐぁあああああ! イライラするぅ!

のである。


これはトラウマなのだ。

昔、おじいさんが何を忘れたのか
風呂場から大きな声で家族を呼んだ。

少し離れた場所にあった風呂場と
力のない声が、僕達の鼓膜に届く直前で失速する。

「ぉぉーーぃ」

何度か聴かないと確信出来ないその声。

慌てて駆け付けると、必ず怒られた。


「聞こえないんですよ」

そんな口ごたえをしようモノなら、鉄拳が飛んできた。


あれ以来、遠くから呼ばれるのが、
いや、聞こえるか聞こえないかの叫び声が苦手だ。


イライラする。




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