携帯版・なごぐら

携帯アプリから作った名古屋で暮らす女性のブログ。
ナゴヤかな?名古屋かな??。
地元の魅力発掘ブログ。

羊のムーア・ガラスの森

2021-12-03 11:39:50 | お話づくり。童話など。
ムーアは、魔女の女の子が
言っていた「止まらないもの」を
探すことにしました。

廻りには、ビー玉のように
色のにじんだ透明なガラスの木々。
何にもない真っ暗な道が続いて
います。

こんなに暗いとガラスの森は、
ちょっと怖いかもしれません。

ムーアは、色のついたガラスの
木の枝を折って、偶然見えていた
星の光をあてました。
反射させれば、道がわかるかも
と思ったのです。

光は、足元くらいしか、
照らせませんが、それでも
ムーアの寂しさや孤独感を
軽くしてくれました。

「なにかないかな、
とまらないもの。
そういえば、
今何時なんだろう」

一体どれくらいの時間が
経ったのでしょうか。
ここには、時計がありません。

「時計、時間、止まらない…。
ああ、そうか。わかった。
止まらないのは、この時間だ。」

すると、そこを一匹の
大きな時計を下げた、
ウサギが走ってきました。

ウサギは、背中にもたくさんの
時計を持っていて今にも
落としてしまいそうです。

「ああ、忙しい。遅刻してしまうよ!
ガラスの国のお妃に怒られて
しまう。どうしよう。」

「待って!ウサギさん。」

ウサギの後ろを追いかけていく
女の子もいました。

二人はあっというまに
ムーアの前を通りすぎていきました。
ムーアは、うさぎの落とした時計を
拾いました。

「ウサギの時計。これでゲームに
勝てるけど、ぼくのじゃないし、
返さなきゃな。ぼくもウサギを
追いかけようかな」

ムーアは、ウサギを追いかけ始め
ました。どこにいったかは、
わかりませんでしたが、
暫く進むとアシアトがあったので
助かりました。

アシアトを追うと、やはり、
あのウサギがいました。
ムーアは、うさぎに声を
かけました。

「うさぎさん、ちょっとまって、
落とし物だよ」

ウサギは振り向いて言いました。

「今急がしたいんだ!あとに
してくれないか。遅刻したら、
大変なんだから。」

「……。でもこれがないと
きみはもっと困るんじゃないの?」

「そうかもしれないけど
いまは、話している時間さえも
惜しい!!。」

そういうとウサギは、また
走り去ってしまいました。

ムーアは、時計を借りることにして
またこの森でうさぎに会って
返してあげようと決めました。

(つづく)






羊のムーア・ムーアと魔女の女の子

2021-12-01 21:38:12 | お話づくり。童話など。
チョウチョさんは、
何かわかったみたいですが、
ムーアには、さっぱり
わかりませんでした。

とまらせることが
できるもの。

そして、その言葉と
反対のもの。

ムーアは、ブツブツと
独り言を始めていました。
考えごとが難しいとつい、
こうなってしまうのでした。

「とまらせることができる?
そもそも、とまるって
何なんだろう??」

ムーアは、立ち止まると
座り込んでみました。
「ぼくは、自分で
歩けるから止まることは、できる
歩くことかな?」

「ちょっと、それって
違うんじゃない??」

たまたま上を通りかかった
魔女の女の子が、
空から声をかけてきました。

「そんな簡単なことじゃ
悪魔は満足しないし、
反対のものなんでしょ?
だったら、止まったら
だめじゃない??」

「え?どういうこと?」

「止まらせることができるの
反対よ。止まったらだめよ
止まらせられない。
つまり、止まらないものよ」

すると、近くにいたコウモリが
キーッと鳴いて叫びました。

「このおしゃべりむすめが!!
血を吸うぞ!?」

どうやら、悪魔の遣い魔の様です。

魔女の女の子は、
ハッとしてその場を
離れていきました。

「じ、じゃあね、
私は、ここまでだからね。
あとは、自分でなんとかしてね」

「うん、有難う、魔女さん。

ムーアは、立ち上がり、
また歩き出し、ガラスの森へと
入っていきました。

(つづく)

羊のムーア・悪魔のゲーム

2021-12-01 15:31:27 | お話づくり。童話など。
悪魔はまた、キシシッと
イタズラっぽく笑うと、
こう言いました。

「じゃあ、さっそく一日目の
お題な。そこの寝ぼけた羊!、
よく聞いてろよ!!」

「え、ぼくから?
一人ずつやるの?

「そうだ。二人で手を組むなんて
平和的な仕事、オレは嫌いだからな」

「…わかったよ、お題は?」

悪魔は腕をくみ、考えると
言いました。

「『止まらせることが
できるもの』持ってこい」

「えー、ぜんぜん、わかんないよ。
ヒントとかないの?」

「ヒント?そんなの、自分で
探してきな。」

すると、となりで
チョウチョさんが
ウインクしました。

「大丈夫。私が…」

「おい、そこ!
何をこそこそしてるんだよ、
手を組むなって言っただろ」

悪魔は、怒って
チョウチョさんの口を
封じてしまいました。

(つづく)

羊のムーアと魔法の鏡。

2021-11-26 19:11:57 | お話づくり。童話など。
(「羊のムーア」つづきより)

鏡を二人が覗きこむと
不思議な力で吸い込まれて
しまいました。

そう、ここは、鏡の国です。
逆さまに映ったガラスの
かけらから、悪魔が出てきました。

「ケケッよく来たな。
ちょうど退屈してたんだ。
オレとゲームでもしないか?

ムーアは、言いました。
「ゲーム?何をするの?」

「ここは、鏡でできた世界だからな。
そこでだ。オレの言うものと
反対のものを探して持ってくるんだ。

「ゲームの終了は、3日間。
もし、間違えたりギブアップしたら、
お前達の負け」

チョウチョさんが言いました。
「私たちが勝ったら何を
してくれますか?」

悪魔は、また笑いました。
「願い事を一つかなえてやるよ、
そのかわり、必ず役に経つとは、
かぎらないからな。」

「わかりました、いいでしょう」

ムーアは、やめるように
なんども言いました。
悪魔は、約束なんてしてくれない
ことを長老からきいていたからです。

でもチョウチョさんは、
振り切って悪魔のゲームに
乗ってしまいました。

つづく

羊のムーア

2021-11-26 16:55:52 | お話づくり。童話など。
柔らかい花でいっぱいの
白い国に羊の町がありました。
ここには、羊のムーアが
いました。

あるとき、ムーアは
花畑でチョウチョさんを
見つけました。

チョウチョさんは、
旅人でしたが、
旅の途中、疲れて
しまったのです。

ムーアが話を聞くと
自分がどこにいこうと
していたか、わからなくなった
と、言いました。

「会いたい人はいないの?」
「本当の自分に会いたい」

ムーアは、本当の自分とは、
だれのことなのか、
わかりませんでした。

そこで町の長老の家を
訪ねました。
ムーアが訳を話すと、
長老は、一枚の大きな鏡を
くれました。

つづく。