大人の世界に入っても
私はなんとなく、あの双葉のことが
気になっていた。
土の場所は、覚えてる。
試しに行ってみた。
双葉はなかった。
代わりに花が咲いていた。
「大丈夫、これからはきっとうまくいく」
誰かに言われた訳じゃないけど
そう言っているみたいだった。
私は花を摘むとすぐに自宅に帰り、
花瓶に挿した。
でも花は、その時だけしか
きれいには見せてくれなかった。
私が仕事から帰った2日後。
花は、散ってしまった。
涙は出ない。
感情なんてとっくに忘れてしまったから。
それからどのくらい時間が経ったかな。
病院おくりにされたり、
そのまま障害を持ってしまったり、
友達がやっとできたり、
別れたりを繰り返したりした。
仕事も何回か変わって、今じゃ
人に言えるようなものに
すらなっていない。
いやきっと言った所で
わからないだろう。
そう簡単にいえば、仮の居場所なんだ。
職業で言えば、無職。
そういう所。
私はそれでも絵を描く自分を
続けていた。
プロになんてなれなくてもいい。
ただ自分の持っている良さを
捨てたくなかった。
(つづく)
私はなんとなく、あの双葉のことが
気になっていた。
土の場所は、覚えてる。
試しに行ってみた。
双葉はなかった。
代わりに花が咲いていた。
「大丈夫、これからはきっとうまくいく」
誰かに言われた訳じゃないけど
そう言っているみたいだった。
私は花を摘むとすぐに自宅に帰り、
花瓶に挿した。
でも花は、その時だけしか
きれいには見せてくれなかった。
私が仕事から帰った2日後。
花は、散ってしまった。
涙は出ない。
感情なんてとっくに忘れてしまったから。
それからどのくらい時間が経ったかな。
病院おくりにされたり、
そのまま障害を持ってしまったり、
友達がやっとできたり、
別れたりを繰り返したりした。
仕事も何回か変わって、今じゃ
人に言えるようなものに
すらなっていない。
いやきっと言った所で
わからないだろう。
そう簡単にいえば、仮の居場所なんだ。
職業で言えば、無職。
そういう所。
私はそれでも絵を描く自分を
続けていた。
プロになんてなれなくてもいい。
ただ自分の持っている良さを
捨てたくなかった。
(つづく)