文藝春秋
2011年9月 第1刷発行
280頁
「東京少年」「日本橋バビロン」に続く自伝的長編の第三部
若い頃沖電気に在籍した母方の祖父、高宮信三
沖電気時代の信三のことが記録されている資料に始まり、東京青山に居を構えていた信三を冷めた筆致で描きながら、戦中戦後の東京及び東京人の変貌を浮かび上がらせていきます
この淡々とした綴り方
田中和生氏によれば
語り手の「私」は平明に自分のことを語るようだが、それは書き方ばかりにこだわる「二十世紀小説の騒々しさ」が「うっとうしくなった」末に選ばれた書き方で、なにより他人を描くためのものである。だから読者は「私」の言葉を通して祖父「高宮信三」を知り、次第にその存在のかけがえのなさを実感していく。
そうです
自叙伝的小説というものの読み方は難しいです
小林信彦という作家の力を知ったうえで手にした方がよい一冊でしょう
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