盤珪禅師の意外な答え
ある時、ある鋳物師が、盤珪禅師に尋ねました・「私は鍋釜に穴があいた失敗作品ができますと、その穴を「そっくい」(飯粒をつぶして作った糊)でふさいで、見えないようにし、無きずの完成品だと言って売っておりますのが、どうも気になっております。
こういうことをしていると、その罪で、いまに罰・ばち があたるでしょうか?」
この返答に、盤珪は驚くべき答えを出しているのです。
盤珪は彼に聞きました。「それは、お前だけがしていることか?」鋳物師は
「いいえ、世間では皆同じようなことをしております」と言いました。
盤珪「夜中に売るのか?」鋳物師「いいえ、真昼間に売ります」そこで盤珪はこう言って聞かせました。
「相手の買い手も目があって買うのだ。もし、きず物を無き きずだと言って、夜中に売れば、罪になることだが、真昼間のことだから、向こうきず物だとわかったら買うまい、余り悔やむほどのことでもない。そんなに気にするな」
こんな、法にも触れるし、あきらかに人の道にもはずれた行為を「あまり悔やむほどのことでもない」と、しゃあしゃあと言ってのけた盤珪の図太さには、私もあっけにとられました。なぜ、盤珪はこんなことを言ったのでしょう?
それは、この鋳物師に対する慈悲心からなのです。罪の意識に恐れおののいている弱い凡夫を見た時、とっさに盤珪の慈悲心は発動し、このような寛容な答えとなったのです。
つづく
ある時、ある鋳物師が、盤珪禅師に尋ねました・「私は鍋釜に穴があいた失敗作品ができますと、その穴を「そっくい」(飯粒をつぶして作った糊)でふさいで、見えないようにし、無きずの完成品だと言って売っておりますのが、どうも気になっております。
こういうことをしていると、その罪で、いまに罰・ばち があたるでしょうか?」
この返答に、盤珪は驚くべき答えを出しているのです。
盤珪は彼に聞きました。「それは、お前だけがしていることか?」鋳物師は
「いいえ、世間では皆同じようなことをしております」と言いました。
盤珪「夜中に売るのか?」鋳物師「いいえ、真昼間に売ります」そこで盤珪はこう言って聞かせました。
「相手の買い手も目があって買うのだ。もし、きず物を無き きずだと言って、夜中に売れば、罪になることだが、真昼間のことだから、向こうきず物だとわかったら買うまい、余り悔やむほどのことでもない。そんなに気にするな」
こんな、法にも触れるし、あきらかに人の道にもはずれた行為を「あまり悔やむほどのことでもない」と、しゃあしゃあと言ってのけた盤珪の図太さには、私もあっけにとられました。なぜ、盤珪はこんなことを言ったのでしょう?
それは、この鋳物師に対する慈悲心からなのです。罪の意識に恐れおののいている弱い凡夫を見た時、とっさに盤珪の慈悲心は発動し、このような寛容な答えとなったのです。
つづく