曇りのち晴れ、気温30℃、風やや強い。
尾花沢から西瓜が届いた。ニュースで熊の被害にあったことを聞いたが、親戚の西瓜は無事だったらしい。小玉西瓜だ。小家族化が進み、西瓜も小玉でないと売れないらしく、尾花沢の栽培農家でも作付けしているのは殆どが小玉である。
冷やした西瓜を食べると昔の味が偲ばれる。北海道でも戦後すぐに西瓜と南瓜の栽培が盛んになった。米が乏しい時代では、南瓜がその代用にされた。南瓜の隣に西瓜を栽培した。わが実家では、酪農家であったから、畑には牛糞の堆肥を大量に入れられたので、地味は肥えていた。父は黒い土が自慢で、作物はよく実った。それでも西瓜には、肥料を特別多く入れた。実家の西瓜を街の人が買いに来た。甘い西瓜だと評判であった。
夏休みが近づくと、丹精した西瓜が実り始める。指でぽんぽんと叩いて、実り具合を見た。友達と西瓜畑で頃合の西瓜を採って、川に持って行き、水遊びをしながら冷やした西瓜を食べたのは、遠い昔の思い出である。
家中で車座になって、大きな西瓜の切り身にかぶりつくのが醍醐味であった。真ん中の一番甘いところを先を争って手を出すのも往時の懐かしい情景であった。
両断の西瓜たほるる東西に 日野 草城
これの世や西瓜を割れば色烈し 篠田俤二郎
まだきより西瓜常陰の井にて冷ゆ 中尾 白雨
西瓜の産地は季節によって出荷時期が異なっている。6月に千葉産の西瓜が終わると、市場では尾花沢の西瓜を待つ。7月の中ごろから、尾花沢産の西瓜が出回るが、今年は少し遅れたようだ。日曜日など家にいると、マイクつきのトラックで「西瓜あ、西瓜あ、尾花沢の西瓜あ」とふれながら、売り歩くのが風物詩であったが、近年はあまり見かけなくなった。スーパーでカットされた西瓜が主流になったと聞く。道の駅などの西瓜直売所では、小玉1個800円の値がついていた。