台風が列島に痛ましい傷跡を残して去ったきょう、空は一点の雲もなく晴れ渡った。前線や台風がない空はこれほど違うのか、信じられないような気候だ。その落差のあまりの大きさに戸惑うばかりだ。「台風が大事にならずよかったね」「山形は貧乏県だから、神さまがよけてくれるんだ」こんな会話が挨拶がわりになる。山形で台風が来たと思われたのは、昨日の午後1時半頃であった。小雨が急に激しい雨に変わった。同時に強風が吹きつける。丁度、スーパーに買い物に行っていたので、外で傘をさしてもずぶ濡れになるようか風雨だった。しかし、10分ほどで雨も風も弱くなり、そのまま空の色が変わっていった。1時間もすると、北東の空に青空が見え始めた。台風が宮城から岩手の方へ抜けていく頃であった。
蔵王坊平にヤマブドウ狩りに出かける。今年は、9月に雨が多かったせいか、ヤマブドウは豊作だ。高い木の上でしか取れなかったものが、今年は低い木にたわわになっている。2時間ほどのうちに、両手に重くて手が痛くなるほどの収穫であった。こんなに大量に収穫できたのは初めてことである。
山葡萄むらさきこぼれ山日和 水原秋桜子
山には少し夕べの雨が下草を濡らしている程度で、沢の水にも増水の気配もない。きのう、このやまにも台風が通過していったとはとても思えない静かな秋晴れだ。運動の青年が、山道で走りながらトレーニングそしている。聞けば、東京かたきたバレーボールクラブだという。「東京FCです」と言いながら。元気に走りぬけていく。松の木の下に、アワダケが出ているのを見つける。夜の味噌汁の具に一つかみ採ってくる。
帰宅して、山ブドウをつぶして、山ぶどう酒作りをする。4ℓ瓶に1本と3分2のブドウ液ができた。グラニュー糖を入れて発酵を待つ。