秋になると食べものの好みも変わってくる。お好み焼きやラーメンなど、熱いものがおいしく感じられる。もう収穫も終わりに近づいたミニトマトとフレッシュバジルを使ったお好み焼きを作ってみた。お好み焼きは、以前は家で作ることもめったになかった。お祭りの縁日でどんどん焼きを食べてから、だんだんと親しんでいったような気がする。うどん粉を溶いて、荒ミジンにしたキャベツとざっくりまぜ合わせて、両面を焦げ目がつくまでフライパンで焼き上げる。それにとんかつソースをかけて食べるのが定番であった。
今回はその上ににミニトマトとバジルをトッピングするので、ソースはイタリアンソースを使った。和とイタリアンのコラボだが、これがなかなか微妙なバランスでおいしかった。焼き上げるとき、蒸し焼きにするのがコツだ。焼きそばもそうだが、油を使わずにフライパンに蓋をして弱火で蒸し焼きにする。秋の夜、こんなお好み焼きを食べると祭りを思い出す。
子供たちは、わずかの小遣いを貰って屋台のワタアメやどんどん焼きを買って歩きながら食べるのが楽しい。着慣れない浴衣を着て友達と連れ立って神社の境内を歩く。見世物やサーカス小屋で、おどろおどろしいろくろく首や空中自転車など、怖いもの見たさの心理が働く。日本の祭りの祝祭空間は、昭和の年に一度の癒しの時間であった。
秋祭り覗きめがねもよそながら 久保より江
それにしても、季節のかわりが極端になった。古い歌では、「秋きぬと目にさやかに見えねども」と歌われたように、知らぬうちに小さな変化が少しづつ大きくなって秋を実感したものであったが、今年は台風が過ぎて、暑かった夏がそっくり秋になった。台風や竜巻、突風に大雨。気象庁は「経験したことのない大雨。ただちに命を守る行動をとって下さい」とアナウンスする。「どうすれば命を守れますか」という問い合わせが、気象庁に殺到したというから、気候の変動が極端で、人間の生命を奪うようなあらあらしいものになった。