おせちが終わって最初の朝食。鰹のたたき丼にナメコ汁。シンプルな形になった。昨夜静岡から贈ってもらたタタキをづけにして、白いご飯の上に乗せた。ナメコは暮れに山に出ていた天然ナメコに豆腐、セリは雑煮用が残ったものだ。正月に取り過ぎたカロリーを調整する時期になっている。
和食が世界文化遺産に登録されて始めて迎えた正月、味噌汁のうまさにしみじみと伝統食のよさを味わう。昭和という時代はこの伝統食を否定していたような嫌いがある。昔、テレビのドラマに「女と味噌汁」というのがあったが。ドラマで盛り場の女性やOLのたちは味噌汁を敬遠していた。池内淳子が演じる芸者が、「男の人、みんなおいしいご飯と味噌汁に飢えている感じよ」というせりふを吐く。糠味噌や味噌汁の匂いが、新時代の女性にそぐわないものという錯覚があったような気がする。
『料理歳時記』の辰巳浜子は、味噌汁の深い奥行きに触れた文章を残している。
「気候の移り変わりに応じてみその組み合わせを工夫し、みそ汁のなかみなど、絶えず細かい注意をとどかせて、辛さ、甘さ、薄さに気を使い、毎日同じみそ汁を作らないよう心がけることです」
薄さとはどういうことをいうのか分からないが、毎日こんな気を使ったみそ汁が食べられるとしらこれに勝る幸せはないであろう。みそ汁は和食の象徴として、これからもずっと飲み続けていきたい。
女房の味は可もなし不可もなし 古川柳