常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

一本杉

2014年11月07日 | 日記


村の入り口にある一本杉。樹齢はもちろん、100年を過ぎ、この村の歴史を高い視点から見守ってきた。第二次大戦中、この木のある東側の山の方に兵舎があった。兵士たちはこの木の下に集まって昼食をとり、いっときの昼寝をむさぼった。村を出て、駅へ向かう若者たちを、いったいどれだけの人々がこの杉のところで見送っただろうか。

戦後の混乱期が過ぎると、若い人々は都会を目指した。集団就職という言葉が生まれるほど、大都市の労働力として生まれた田舎を後にした。一本杉は村を離れる若者を見送るシンボルとして各地に存在した。今回の写真は、義母の生まれた尾花沢市寺内の一本杉である。この杉は集団就職というより冬の初め出稼ぎに行く男たちを見送り、春になって土産を持って帰村するのを出迎えるシンボルとして村の人々の記憶に残っている。同じ尾花沢の名木沢の一本杉は、樹齢1500年と言われるほど、巨木として有名である。

昭和の名曲として思い出されるのが、春日八郎の歌った「別れの一本杉」である。都会へ出て行く男が、村に残した恋人との悲恋の歌である。

泣けた泣けた
これえ切れずに 泣けたっけ
あの娘と別れた 哀しさに
山のカケスも 啼いていた
一本杉の
石の地蔵さんのヨー 村はずれ

この歌でも一本杉は、都会をめざす若者が離れていく田舎のシンボルとして歌われている。


日記・雑談 ブログランキングへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

林檎

2014年11月07日 | 日記


山形空港近くの林檎畑で、赤い林檎が秋の日ざしに照り輝いていた。近くに無人の林檎販売所がある。一籠10個入って、200円。一個20円と驚くほどの安さだ。すぐにかぶりついて食べてみると、ぱりぱりとした食感に加え、甘酸っぱいなつかしい味である。販売所には4籠しか置かれていなかったので、迷わず全部買った。買い物袋に入れると、袋はひとつでは間に合わない。ふた袋にいっぱいになり、持つと結構重たい。この無人販売は、10年ほど前に利用したことがあったからこの方式はもう10年以上続いている。こんな販売方式が成り立つのも、日本ならではと思える。

まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり

やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひそめしはじめなり

林檎を見ると、島崎藤村の初恋の詩句を思い出す。まだ20台のときに読んだ初恋の詩に、胸が高まったのはまだ記憶の底に生き続けている。


日記・雑談 ブログランキングへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする