車に乗ってラジオを聞いていたら、フォークソングの「サボテンの花」が聞こえてきた。我が家には、サボテンの鉢が5つほどあるが、冬の間サッシ戸と障子の隙間に置いてある。ちょうど温室のような具合になっているので、サボテンにとっていい環境なのかもしれない。障子が締め切ってあるので、サボテンのことを忘れていた。ラジオで「サボテンの花」を聞いたので、見てみるときれいな花が咲いていた。
財津和夫の歌う「サボテンの花」はいい歌だが、悲しい失恋の歌だ。アパートの一室で愛を育んでいた若い二人の失恋の歌だ。その曲の端々に昭和の香りが漂っている。
ほんの小さな出来事に愛は傷ついて
君は部屋を飛び出した真冬の空の下に
編みかけていた手袋と洗いかけの洗濯物
シャボンの泡がゆれていた君の香りがゆれた
思い出のつまってこの部屋を僕も出てゆこう
ドアにかぎをおろした時なぜか涙がこぼれた
君が育てたサボテンは小さな花をつくった
春はもうすぐそこまで恋は今終った
この曲はテレビドラマの「ひとつ屋根の下」の主題歌だったが、この曲を作詞したチューリップの財津和夫の体験が詩になっている。昭和の恋には、若者の悲しさが詰まっている。