薔薇
2023年05月20日 | 花
長いあいだ牡丹が花の王として君臨したが、近年、その座は薔薇に奪われたような気がする。この花を愛する人は、しだいにその魅力にとりつかれ、家全体を薔薇の花で囲いこむような人も出現する。花にはバラ科のものが多い。ウメ、モモ、サクラをはじめ、庭に植えるサンザシ、コデマリ、ナナカマドなどもバラ科だし、渋いワレモコウや初夏に実るイチゴまでもがバラ科だ。平成天皇が結婚したとき、イギリスの会社がプリンセス・ミチコという薔薇の新種が献呈されて話題になった。昭和37年、皇太子妃となった美智子の御詠
剪定のはさみの跡のくきやかに
薔薇ひともといのちみちきぬ
薔薇の花ほど交雑によって新しい品種が生まれているのも少ないのではないか。14世紀ペルシャの詩人ハーフィズも薔薇の花を愛してやまなかった。その花の美しさと香気に癒され、心を落ち着かせるのであった。
微風が薔薇の花を恵みの水で洗ったとき
書物に目を通していても ひねくれた私を呼んでくれ(ハーフィズ)