お彼岸の入りに蕗の薹を見つけた。この春初めてだ。フキは葉を出す前に、先ず花芽であるトウの部分が顔を出す。春の野を散策していると、蕗の薹をもとめて、歩いている人に行き会う。黄緑の薄い葉のような部分を刻んで、みそ汁に浮かべると、ほろ苦い春の香りに食卓が包まれる。
蕗の薹ふみてゆききや善き隣 杉田 久女
俳人杉田久女は、明治42年、九州小倉の中学校教師杉田宇内に嫁いだ。東京のお茶水女学校を卒業したばかりの19歳であった。官吏の娘として、不自由のない青春を送った久女であった。結婚そして出産という女としての生活のかたわら、教師の妻という役割を果たしていくことは多少とも困難を伴ったであろう。離婚の危機に立ちながら、大正7年ごろから始める句作まで、久女の人間としてどのように成長していったのか興味ぶかい。
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