梅花
2021年03月11日 | 花
南に住む方のブログでは、春爛漫。河津桜など、花だよりも満載である。だが、こちらでは陽当りのよいところをさがして、マンサクやフクジュソウをやっと見つけられる季節である。春めいた気温が続いたためか、梅の花が開いた。青空に、日に向って梅が咲くと、気分もはなやいでくる。あたりには、葉ひとつない樹々のなかに、梅のピンクが遠目に見えると、急にあたりの雰囲気が生きがえったたように見える。
東風吹かば匂ひおこせよ梅の花主なしとて春な忘れそ 菅原道真
天皇の信任を得て、右大臣にまで登りつめて道真であったが、藤原氏に謀られて太宰へ左遷されてときの歌である。先進地であった中国からの文化が、多く入った時代であった。梅も中国原産で朝鮮半島を経由して、日本に入ってきた。先進文化へのあこがれから、梅がもてはやされ、貴族たちは挙って、庭に梅を植え、花の宴を催した。いまも使われる慣用句「松竹梅」とはいいものをさす言葉だ。松はいつまでも葉が緑であることから長寿、竹はその早い成長力から生命力、梅は寒い逆境で耐える強さや謙虚さ象徴である。