10月5日と6日、2日間をめいっぱい使って、東北の名峰会津駒ケ岳に登った。この秋は、山行と天気の周期が、逆回りに一致してしまって、山行の計画日に低気圧が通過するパターンにくり返しである。山行の前日まで秋晴れが続いて、素晴らしい山行を期待したが、低気圧の通過にぶつかってしまった。朝、3時20分を自宅を出発してから滝沢登山口には、8時20分着。最初の梯子のような階段は、思っていたより幅の狭いものだった。すぐに急勾配の階段を登り、最初から急登となる。早朝の出発で、寝不足のメンバーにはやはりキツイ試練を受けることになった。
一つの急登を終えると、ジグザグに切った道が来る。ベンチのように利用されている倒木を過ぎる。この先、どんな驚きが現れるののか。疲れを歓びにするような感覚が身体のなかから起こってくる。もうこの山に来ることはないだろうという気が次に来る。若い登山の仲間の笑い声が、力を貸してくれる。
登山口の標高が1100m、中間点の水場は1650m地点だ。我々はこの地点までほぼ3時間を要している。視線を遠くに向けると、霧が山を包むようにしているが、高度が100mほど増すごとに木々の紅葉の様子が手に取るように分かる。最初に紅くなるのは山ウルシで、ブナの黄色が次第に目立ってくる。自然の神秘が、足を一歩進めるごとに目に飛び込んでくるのに、自分の身体の内の方で感じ取っているのが分かる。やがて、ぽつんと雨粒が落ちて来る。さっと風が木をゆすると、ばらばらと葉に貯まった水滴を落す。水場からは、勾配はゆるくなっている。小屋まで半分の道のりでは、雨にあたらずに登った。ようやく、足は朝の目覚めを迎えている。この山を登った人に言葉に、「みんなルンルンと登りましたよ」と聞いたが、この辺りの歩きをさしていたのかも知れない。
高度1800m辺りで、草紅葉が広がりを見せている。霧に霞んだ紅葉もまた風情がある。今日の登山の目的の一つであったので、一行の歓声が弾んでいる。急な登りでかいた汗が、冷気をうけて引いていく。シラビソの木が目だち始める。ポツリポツリと雨が落ちてくる。雨は少しずつ、少しづつ量を増して来る。やがて山中の木々の葉に落ちる音が広がり始める。「雨具を着ましょう」とリーダーの声。身体を動かしていなければ寒いほどの気温のはずだが、雨がきて温まった身体を冷やしてくれるのが心地いい。次第の強まってくる雨。小屋まではあと少しだ。駒の小屋は30人が泊れるが、コロナ対策で、10人を限度にして営業している。要請されたのは、土間と外便所用のサンダル。蒲団は小屋にあるが、インナーシュラフ、襟元へ掛けるタオル。雨のなか、小屋唐茶着13時10分。小屋の営業の女性の指示はテキパキとしている。靴の置き場所、濡れた雨具の乾燥室、部屋への案内。雨のため頂上と中門岳への登頂を諦め、小屋で夕食まで仮眠。本日の参加者8名、内男性4名。持って行ったお湯を注ぐだけのカレーリゾット、ビールが夕飯となる。(続く)
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