常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

ちゃるめら

2014年01月21日 | 日記


ちゃるめらといえば明星ラーメンの「チャルメララーメン」で、すっかり誰もが知る楽器になった。そのラーメンの包装には、屋台を引くラーメン売りの小父さんが吹いているラッパ状の管楽器で有名になってしまった。そういえば、豆腐売りの小父さんもラッパを吹くがこちらは日本製のラッパでチャルメラのような味はでない。

これはそもそも西洋から伝わった管楽器で、長崎では「チャンメラ」と発音しポルトガル語の転化したものである。毎年正月にはチャンメラとともに銅鑼や片張りの太鼓を叩く一隊が家々を門付けのように廻ったという。その後江戸の街では、飴売りが子どもを集めるのに使った。唐人笛とも呼ばれラッパと同一視されたが、どこか田舎びてしかも異国を感じさせるような物悲しい雰囲気の響きである。このチャンメラがいつしかチャルメラと呼ばれるようになった。

石川啄木の『煙』には、このチャルメラを詠み込んだ歌がある。斉藤茂吉の「かりょうびんが」といい、啄木の歌といい、歌に日本語にはない響きを取り入れて、新鮮でモダンな感じを吹き込んでいる。

飴売りのチャルメラ聴けば
うしなひし
をさなき心ひろへるごとし

つい最近まで、車で売る石焼芋や蕨餅、スイカ売りのスピーカーが往来をゆっくりと廻ったものだが、今はそんな呼び売りの声も次第に消えていくようだ。

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納豆汁

2014年01月20日 | 日記


きょうから大寒である。一年中で一番寒い日々が10日あまり続くが、そこを過ぎると立春を迎える。この大寒を乗り切る食べ物に納豆汁がある。叩いた納豆に青菜と豆腐を加えて味噌で仕立てると温かい納豆汁ができる。

米沢の名物に「雪割り納豆」がある。会社勤めをしていたころ、「雪割り納豆」が大好きな同僚がいた。この人は出張で山形に来るたびに大量の「雪割り納豆」を買い込んでいた。この納豆は塩味がついているので、湯に溶いて豆腐を入れるだけで、簡単においしい納豆汁ができるという。試してみると、なるほどインスタントだが本格的な納豆汁ができた。

雪国の朝はすがしや納豆汁 余白


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迦陵頻伽(かりょうびんが)

2014年01月20日 | 斉藤茂吉


きのう一日降った雪が晴れて日がさした。光禅寺の庭園は庭の石や庭木に新雪をかぶりきれいだ。義母はぐっすりと、いびきをかいて朝寝である。起こして服薬させ、朝食を食べさせる。食べることに満足視してか、くったくのない笑顔だ。つい数年前まで、デパートで買い物に生きがいを感じていたときとは容貌まで変わってしまった。

きのう想像上の鳥、寒苦鳥について書いたが、もうひとつ想像上の鳥、迦陵頻伽。読みも難しいが「かりょうびんが」と読む。広辞苑には仏教で、雪山または極楽にいる鳥。妙音を発し、聞けどもあきることがないという。その像は人頭、鳥身としてイラストまでが添えてある。斉藤茂吉はこの想像上の鳥を和歌に取り入れて詠んものが『赤光』のなかにある。

とほきよのかりょうびんがのわたくし児田螺はぬるき水恋ひにけり 茂吉

田螺は田など泥中に棲む淡水の貝である。海のない山形の内陸などでは、田植えの前、田螺をとって泥を吐かせ、みそ汁の具にして食した。50年近くも前のことだが、近所の人とバケツを持参して田螺を採ったことを懐かしく思い出す。茂吉はこの田螺を想像上のかりょうびんの子として詠んだ。あるいは近所の寺の和尚から、こんな伝説を聞いていたかも知れない。


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寒苦鳥

2014年01月19日 | 日記


昨日晴れ渡った空は一転して雪空。雪が絶え間なく降るが、日中の気温が比較的高いため、道路や駐車場に積雪はない。昼に手作りのヨーグルトを食べる。柿とリンゴを小片に切ってたっぷりとヨーグルトをかけ、その上にブドウジャムをトッピング。しゃれたフルーツヨーグルトである。

仏教説話に寒苦鳥という仮想の鳥がある。この鳥はインドの雪深い山中に住んでいた。雪のなかでも日がさすと温かく寒苦鳥は遊ぶのが忙しい。やがて日が沈み寒気が襲ってくると、寒さを遮る巣も作っていないので、雌の寒苦鳥は「寒苦必死」(こう寒いと死んでしまう)と啼く。雄は雌をなだめて「夜明造巣」(夜があけたら巣を作ろう)と啼く。ところが夜が明けて日がさすと、昨日寒さの苦痛と決意を忘れて、「今日不死、明日は不知」と番で反省もなく、また遊び呆ける。夜になると啼き、昼間は遊び呆けることで一生を過ごしてしまう、それが寒苦鳥である。

思えば人の生き様を引き写したものが寒苦鳥であろう。似た諺に「フクロウの宵だくみ」「宵だくみの朝ぶせり」がある。自らの来し方を振り返る、と身につまされる説話である。

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鳥の気持ち

2014年01月18日 | 登山


山形市の西方の高山は白鷹山である。その北隣に西黒森山がある。標高840m、決して高い山ではないが、冬の里山歩きには丁度いい。積雪はけっこうあってカンジキ使用は不可欠だ。里山とはいえ、登りの勾配はきつい。急勾配の雪道を1時間半ほどで頂上に着く。頂上から山辺畑谷の集落が箱庭のように見える。840mから500mほど下を見るが、これこそバードアイだ。飛びながら俯瞰して下を見る鳥の目にはこんな景色が広がっている。

寒雀揺らるる枝を啄ばめる 草堂

頂上付近の尾根筋に吹く風が冷たい。急峻な登りのラッセルで汗をかいたので、下着が湿気を外に出す前に冷えるために体温が急速に奪われる。写真を撮る時間だけ確保して、行動食を大急ぎに口に入れて下山する。下山では斜面の勾配が確認できるので、こんな勾配をよく登ったものと思いながら下る。下りに使う足の筋肉に伝わる重力も重いのですぐに体温が回復する。

この雪の中で撮る写真は貴重だ。普段の生活ではありえないシャッターチャンスが得られる。できれば撮影の技術がもう少し向上すればと思う。


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