ソメイヨシノだけが桜ではない。朝、畑仕事に出かけると、濃いピンクの桜が咲いているのを見かけた。気になって傍まで行って写真に収めた。公民館の玄関にある桜であった。公民館の開設を記念して植えた桜で、「彼岸桜」と名前まで記されていた。市内のソメイヨシノがほぼ満開になったので、これからの注目は市西部にある大山桜である。お寺の境内には、枝垂桜もそろそろ咲いているだろう。馬見ヶ崎川の周辺では、昨日、三分咲きぐらいであった。
咲き満ちてこぼるゝ花もなかりけり 高浜 虚子
桜前線はこれから北上して、秋田の角館から青森の弘前へと名所に至る。小林秀雄の随筆「お花見」には、弘前城の花見の話がある。
「汽車は桜に追い付こうと、ひたすら走っているようであったが、弘前近くになると、未だ浅緑の野や山に、桜が咲き出すのが眺められた。弘前城の花は見事な満開であった。背景には、岩木山が、頂の雪を雲に隠して、雄大な山裾を見せ、落下の人で、人々は飲み食い、狂おしいように踊っていた。実に久しぶりの事だ。こんなお花見らしいお花見は、私の記憶では12、3の頃。」
桜のもとに集って、酒を酌みながら、お花見をしたのは、私も記憶をたどれば、30年も前になるだろう。千歳公園の屋台で、花寒のなか熱燗を飲んだのが最後であったようだ。
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