福島の桧枝岐から帝釈山に登ってきた。桧枝岐でこの秋最高の紅葉を見て来た。車で会津若松市から国道121号線を南下すると、湯之上温泉、下郷、田島から南郷へと山間の集落を過ぎる。ここから転じて152号線をへて桧枝岐川沿いに行くと、かつて陸の孤島、秘境といわれた桧枝岐に着く。周囲を山に囲まれたこの地域は、見渡すかぎりの紅葉で、秋の日差しをうけて黄金と赤に染め上げられていた。
この日、行動には100キロ遠足のイベントが行われ、多くのランナーの走る姿があった。100キロとはいうものの、距離別にランナーを募っているので、自分の体力に合わせて走る距離を決めるのであろう。老若男女さまざま階層のランナーである。桧枝岐から日光へ抜ける道路を進むと、帝釈山への登山口がある。駐車場は広く公衆トイレもあるが、冬季にそなへてすでに閉鎖されていた。紅葉は桧枝岐の集落からこの登山口までの林道が見ごろであった。
車は絵のカンバスの中を走って行く。風もないのに葉が落ちて、道路は一面の落葉が散り敷いていた。本日の参加者6名、うち女性は3名である。車の中から見える紅葉の美しさに思わず感嘆の声が上がる。登山口近くなって霧雨が落ちてきた。出かけの星空がきれいだったので、今日は快晴とばかり思いこみ、まさか雨になるとは思わなかった。そういえば、関東地方には雨の予報が出ていたが、桧枝岐もまた関東と山地を隔てて連なっていることをあらためて思い知った。
登山口の標高は1800m、帝釈山の山頂2060mだから標高差にして260mに過ぎない。帝釈山の頂上までは、登山道の整備も行き届いている。木枠で固定した階段、木道、濡れていなければ歩きやすくできている。ここは200名山走破を目指している田中陽希さんが、走り抜けた山でもある。頂上まで1時間、さらに次の田代山を目指したが、雨と霧で展望が聞かないためここで断念、下山する。
帰りの温泉は桧枝岐の燧の湯に入る。桧枝岐川の流れを前に、すぐ裏の紅葉をみながら浸かる湯はまさに極楽。澄んだ硫黄泉は、じっくり皮膚のなかにしみこんで疲労を吹き飛ばしてくれる。入浴料500円。