胡錦濤は ウイグル族やチベット族を徹底的に弾圧する方針に転換

ウィリー・ラム
ウイグル、チベット弾圧に動員された 「対台湾部隊」と「民間人スパイ」
<全文引用>
2008年10月9日 SAPIO
 北京の中国共産党関係筋が明らかにしたところによると、胡錦濤・国家主席は従来の寛容な少数民族政策を転換し、特にテロや暴力的な手段による独立運動を進めるウイグル族やチベット族に関して徹底的に弾圧する方針を決めた。これまでの少数民族政策は、胡主席が師と仰ぐ胡耀邦・元党総書記から引き継いだものだが、8月に入ってから、分かっているだけで、新疆ウイグル自治区では3件のテロ事件が発生していることから、中国人民解放軍や武装警察部隊などを動員して、「分離独立主義グループ」を根絶やしにしようと狙っている。
 
 さらに、チベット族の居住地区でもある甘粛省や青海省、さらに回族が多い寧夏回族自治区を管轄範囲に含んでいる中国人民解放軍の蘭州軍区の陣容を大幅に増強することになった。
 
 また、台湾有事を想定して、解放軍の中でも最も軍事力が充実している南京軍区の兵力を新疆ウイグル自治区に移動させるほか、各軍区の歩兵部隊や装甲車、戦車、重火器を同自治区の軍本部に集結させ、大幅な軍事力の増強を図った。
 
 「1か所に軍事力を集中させるのは、まさに戦時の軍事体制だ」
と同筋は指摘する。
 
 台湾で対中融和派の馬英九・総統が権力を掌握したことにより、中国軍にとって最大の懸案である「台湾有事」の可能性が遠のいたことや、ロシアと長年もめてきた国境画定も平和裏に終了するなど、「北方からの脅威」がほぼなくなったことも背景として挙げられる。
 
 軍事力増強に次ぐ、胡錦濤政権の「新疆作戦」の第2弾は「人民の海の中で分離独立派を孤立させる」というもの。新疆ウイグル自治区の路地裏の隅々まで網の目のように張り巡らせている中国共産党の末端組織「街道委員会」の拡充だ。
 
 事件が起こる前に、「未然に陰謀を暴き出す」のが街道委員会の監視活動である。   
 共産党に忠誠を誓う末端党員は中国人(漢族)のほかウイグル族など少数民族にも多数いる。これらが街道委員会のメンバーとして、どぶ板を踏むように近隣の家々を巡回し、異常がないかをチェックする。見知らぬ外国人や、隣接するカザフスタン共和国やキルギス共和国から来たウイグル族など"不審者"を認めたら、すぐに公安組織に通報。公安部隊が現場に赴き、事情聴取を始めるという手はずだ。
 
 胡錦濤政権がこのような、なりふり構わぬ少数民族弾圧策をとることについて、同筋は、
「新疆ウイグル自治区のクチャで、武装警察部隊がテロリスト2人に襲われ、32人もの武装警官が死傷したことで、江沢民・前主席ら『上海閥』が胡主席の少数民族政策を生ぬるいと批判。胡主席側近といわれる王楽泉・同自治区党委書記やチベット自治区の張慶黎・党委書記が吊し上げを食った。これ以上、失態が増えると、胡主席にまで批判が及ぶとの危機感がある」
 
 と語り、少数民族問題が派閥闘争、権力闘争に発展する可能性が出てきたと指摘する。 
 胡錦濤主席にとっては、まさに足元に火がついたというところだ。8月8日の北京五輪の開会式では、開催国を代表して、まさにひな壇に立って世界中の注目を浴び、さわやかな笑顔を見せた胡主席だが、実は、そのときすでに江前主席らの攻撃にさらされ、苦渋の決断を迫られていたのである。(ジャーナリスト)
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