日本が見直すべき「水力発電」の底力

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竹村 公太郎  2018.08.09(木)

日本が見直すべき「水力発電」の底力

既存ダムの有効活用こそ日本文明存続のカギ

日本は既存ダムの運用を見直すことで、さらに多くの純国産電力を生み出せる──。川治ダム、大川ダム、宮ケ瀬ダムといった巨大ダムの建設に従事してきた元国土交通省河川局長の竹村公太郎氏(日本水フォーラム代表理事)が、日本特有の自然環境とダムの現状を踏まえて、日本がとるべきエネルギー戦略を提示する。(JBpress

水力発電は高度経済成長のエンジンだった

水流は太陽エネルギー。ダムは太陽エネルギーの貯蔵庫

日本列島は薄い太陽エネルギーを集める装置

東京23区にいくら大量の雨が降ってもエネルギーにはならない。平らな土地を水びたしにするだけである。ところが、関東の丹沢山地や奥多摩に降る雨は谷に集まり、相模川や多摩川の水となって流れ落ちてくる。山々の谷には、大量の雨が自然に集められていく。つまり、日本の山岳が単位面積当たり薄いエネルギーの雨を集め、濃い密度の水流に変えていく。しかも、山々は標高が高く、集まった水流の勢いは強い。つまり、位置エネルギーがとても大きい

ダムはピラミッドをしのぐ巨大な構造物だが、極めて強固な構造物だ。その理由は3つある。1つ目は、ダムのコンクリートには鉄筋がないので、鉄が錆びて劣化することがない。2つ目は、ダムの基礎は強固な岩盤と一体化している。3つ目は、コンクリートの厚みが桁違いに厚く安全な構造となっている

既存ダムの有効活用:【1】ダムの運用を変更する

1つ目は、ダムの運用変更で、ダムの空き容量を利用して発電に活用すること。現在日本の多目的ダムには、夏場、水を半分程度しか貯めていない。これは、襲ってくる洪水を貯留して、下流の災害を防ぐためである。

 多目的ダムでは「利水」(水を利用すること)と「治水」(洪水を予防すること)の2つの目的がある。利水はダムに水を貯めたい、治水はダムを空にして洪水を待ちたいといった二律背反の関係にある

通常はなるべくダムに水を貯め、水力発電の効果を高めておく。台風が接近してくれば、今はその予測は1週間前に分かる水準にある。大雨が降る数日間から事前に放流しておけば、洪水を貯め込む空容量は十分確保できる

【2】既存ダムを嵩上げする

ダムをあと10メートル高くすれば、多くの水が貯められ、水位も10メートル上がり、発電力の増加につながる。水の位置エネルギーは、その水量と高さに比例する。高さ的にはわずか10%の違いでも、電力で考えると単純に計算しても発電量は70%も増加する。つまり、10%の嵩上げはダムをもう1つ造るのと同じことになる。しかも、この費用は同じ規模のダム工事なのに桁違いに安く済む。

【3】中小水力を推進する

発電に利用されていない多くのダム

ダム湖は国産の油田

日本全体の電力需要の約20%を賄うことができる

これだけの純国産電力を安定的に得られる意味はとても大きい。仮に家庭用電力料金では、1000億kWの増加で、1kW当たりを20円とすると、年間で2兆円になる。100年で200兆円の電力が新たに生まれることになる

水力発電は天から日本列島が授かった純国産エネルギーなのだ。

 

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