苦難の日本企業、苦戦する森ビル

宮崎正弘
苦難の日本企業、苦戦する森ビルを描く中国経済の内幕
青木直人『北京五輪後に何かが起こる』(PHP研究所)

現場の日本企業の苦しみと懊悩、そして中国当局とのいじましいばかりの確執を、日本のメディアはほとんど伝えない。
中国でうっかり進出していった日本企業がいかにいじめられ、踏みにじられているかを、北京に遠慮してか、日本のマスコミが報じない。だから替わって青木氏が取材するのである。
 森ビルが中国一の高層ビルを上海におっ建てているが、その内情はまず日本の読者は知らないだろう。
 『特別に』「配慮していただいた土地」(森ビル関係者の台詞)に、将来のテナントの見通しもない厳しい環境で十年前に森ビルは基礎工事を始めた。それから六年間、工事を中断して店ざらしだったのは六センチの地盤沈下だけが原因ではなかった。資金不足だったのだ。
突如、「五輪に間に合わせろ」とせっつかれ、安全基準を満たせないせいか、日本のゼネコンはみんな逃げ出した。
資金不足を曖昧なままに森ビルは見切り発車したが、その間に台北に101階建てビルが建ち、上海浦東陸嘴金融街の目の前には金茂ビルがたって展望をふさがれ、あげくにテロ対策でしばしばの設計変更を命令され、あまつさえ森ビルが六本木ヒルズにつぐ「上海ヒルズ」と宣伝しようとした矢先、その命名はまかり成らんと上海当局からきついお達しがあった。
そのうえで、上海利権閥の陳良宇が失脚した。
 上海森ビルの内情をあますところなく描く本書は、結論的に現在の中国は混乱と混沌の経済下降局面にあり、いずれ「義和団の乱」に遭遇するであろうと予告している。
 もすこし欲を言えば、森ビルがヤオハンに次いで中国に乗っ取られる懸念を書き込んでほしかったのだが。。。

これでも シナへ どうぞ ご勝手に
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