「かんぽの宿」が大きな赤字経営という話もまゆつばもの

経済コラムマガジン
09/6/15(573号)
「かんぽの宿」の一括売却
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「かんぽの宿」は赤字だから、全部売り払うという話が前提になっている。しかし今の日本郵政には「かんぽの宿」の経営改善という選択肢が最初からないのである。経営努力したが良くならなかったので、売却するという話ではない。もっとも経営改善を行っても赤字が続くという話なら、オリックスも買おうとしなかったであろう。

以前に売却された「かんぽの宿」の中には、経営合理化によって黒字化したところも結構あるという話である。また「かんぽの宿」が大きな赤字経営という話もまゆつばものである。「かんぽの宿」の採算計算において、固定資産の償却年数を60年から急に25年に短縮したという話が出ている。これによって経費をかなり水増しして、赤字を装っている可能性がある。


事業の採算を誤魔化すための常套手段が減価償却費である。儲かっていないように見せかけるために償却年数を縮めるのである。
03/10/20(第318号)「道路公団、財務諸表の怪」では、償却年数を70年から40年にしていた。ものすごく儲かっているはずの道路公団を、「赤字の垂れ流し」の経営と嘘をつくための道具として、減価償却費を使ったのである。また道路公団の採算計算に使われた長期金利は年4%というとんでもない数字であった。

今日、高速道路会社がものすごく儲かっていることがようやく知られるようになって、「高速料金1,000円政策」まで実施されている。民主党は高速料金の無料化まで検討している。しかし数年前まで、「赤字の垂れ流し」だからさっさと売り払えと言った声が大きかったのである。世界一高い高速料金で、あれだけ混雑しているのに、高速道路が儲かっていないはずがない。
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「かんぽの宿」の売却では、メリルリンチがアドバイザリィー契約者として登場する。手数料が売却資産の簿価の3%で、最低保証額が6億円ということである。通常、不動産の仲介手数料は売買額を元に算出する。ところが今回は簿価を元に手数料を計算するというのだから意味が分らない。

メリルリンチは、膨大な不良債権を抱えバンク・オブ・アメリカに救済合併された。メリルリンチには公的資金が投入され、事実上破綻した。ところがすきを見て社員に多額のボーナスが支払われたということで問題になった。「強欲資本主義」を象徴するような投資銀行である。このようなメリルリンチからアドバイスを受けようというのだから訳が分らない。本当に人をばかにしたような話である。
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どうやら西川善文氏の得意技は、人の目を欺くことである
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