今夏の長雨 小氷期の訪れの予兆か / 温暖化ではないですぞ

なんでもかんでも 温暖化に結びつける風潮への警鐘

読むべし

産経

【ソロモンの頭巾】長辻象平 今夏の多雨 伊勢杉が語る地球寒冷化の時代

 今年の夏は異常だった。東日本では曇りや雨の日が多く、記録的な長雨と日照不足の夏だった。 東京都心は8月1日から21日間、雨また雨の日々。1977年の22日に続く観測史上2位の長雨記録だ。 仙台市はもっとすごい。36日間にわたる雨天となった。7月22日から8月26日まで1日も欠かさず降り続いた。こちらは最長記録の更新だ。福島市も8月1日から26日間の連続降雨。

 関ケ原の前夜を疾駆した松平家忠(1555~1600年)の時代にタイムスリップしたかのようだ。  家忠は徳川家康の従弟(いとこ)で現代の愛知県に当たる三河国深溝(ふこうず)の領主。天正5(1577)年に始まり、文禄3(1594)年まで続く「家忠日記」を残しているのだが、その全編に雨や雪の記録が満ちている。

 「夜雨はらはらとふる」「夜入むら雨」「あさ雨ちとふる」「雨ながながとふる」といった具合だ。 ただ一言、「雨降」と書かれた日も多い。

 家忠の生涯は、平安時代からの「中世温暖期」が終わり、江戸時代の「近世小氷期」へと移る時期と重なっている。気候の変動期なので天候不順が続いていたのだろうか。

 そうしたことを考えていたときに、武蔵野美術大学の准教授で太陽物理学者の宮原ひろ子さんらによる日本の古気候の研究が、国際第四紀学連合の学会誌に掲載された。

 寒冷な気候が支配的だった近世小氷期に雨が増えていたことを、伊勢神宮(三重県伊勢市)の樹齢459年の杉の古木の年輪中の酸素同位体比の分析で突き止めたという内容だ。 とりわけ、近世小氷期の末期に当たる1780~1880年の間の雨量増加が顕著だった。

 総合地球環境学研究所(京都市)の中塚武教授や東京大学大気海洋研究所の横山祐典教授らとの共同研究。分析に用いた直径1メートルを超える杉の木は、伊勢湾台風(1959年)で倒れたものだ。その後、京大に保管されて今回の貴重な研究資料となった。

 海底に堆積した微生物の化石に含まれる酸素18と酸素16の比率(同位体比)を調べると堆積当時の気温が分かる。 樹木の年輪を構成するセルロースの酸素同位体比からは、1年ごとの大気中の湿度が分かるのだ。

 宮原さんは、伊勢杉の1900年から59年までの年輪の酸素同位体比を1年刻みで測定し、近くの津地方気象台の実測湿度と比べたところ、きれいに一致。

 この比較によって伊勢杉の年輪の酸素同位体比は、過去の大気の湿度を忠実に反映していることが確認されたのだ。

 それより昔の時代の分析は、1600年以降の年輪について行った。その結果、1780~1880年の間の年輪の酸素同位体比が示す湿度は、83%前後となった。現代を10ポイント近く上回る高湿度は、当時の多雨を示唆している。

 宮原さんによると、年輪ごとの酸素同位体比が示すのは、各年の梅雨期の湿度であるという。樹木は梅雨に成長するためだ。

 スーパーコンピューターに大気や海洋に関わる物理法則を組み込んで長期の地球気候を模擬すると、温暖化では多雨、寒冷化では乾燥に向かうと予測されるのが一般的だ。

 現代の気候変動の研究では、こうした計算プログラムによる「気候モデル」が活用されている。 今夏の東日本でみられたような降水量の増加も温暖化の進行と結びつけて説明されるのが一般的だ。 だが、伊勢神宮の杉の古木は、寒冷期における中部日本での雨量の増加を証言している。

 家忠日記のように寒冷期の多雨を示す古記録だけでなく、年輪中の酸素同位体比の研究によって現代科学の立場からも裏打ちされることになったのだ。

 「日本では、温暖化するほど雨量が増えるとは言い切れないのです」と宮原さんは語る。

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 気象学者の多くは、太陽の磁場活動の強弱は地球の気候に影響しないという立場だが、それでよいのだろうか。太陽活動の低下は黒点数の減少として表れ、歴史上、過去の少黒点期は日本の江戸時代など地球の小氷期に当たっている。

 そして今、太陽は100年ぶりの本格的な活動低下に向かっているところだ。今夏の長雨を、歴史と太陽活動に重ねると小氷期の訪れの予兆とも読める

 二酸化炭素だけを気候変動の主因とみなす取り組みには、一本綱の危うさを感じてしまう。多様な観点の排除は科学の暗黒時代への逆行だ。そういえば黒点の観測にはガリレオが関わっていたのだった。

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