トンプソンの共和党大統領予備選への参戦が意味するもの

宮崎正弘
トンプソンの共和党大統領予備選への参戦が意味するものは何か?
保守潮流の大幅な後退、米国の左傾化に歯止めをかける政治的賭けではないのか


ビル・クリントンとて全米を覆った保守主義の厚い壁に逆らうことなく、ビル自身は、個人としては左翼だったが、政策は保守路線を歩んだ。
それほど厚かった保守主義の壁が内部から決壊していたのだ。 

ブッシュ大統領の不人気はイラク戦争の泥沼によるものだが、政権発足当初に明確だった「中国包囲戦略」を9・11テロ事件以後は180度転換させて、中国という旧敵と手を繋いだことにもよる。保守派はブッシュ政権の内なる敵となった。

共和党内に不満が燻った。
緒戦のブッシュ路線を強引に牽引したネオコンは政権の周辺からいなくなった。このネオコンの凋落が米国の保守派の退潮を象徴してあまりあるだろう。

 国民は正義の影が遠のいたイラク戦争に苛立ち、富の偏在を生みやすい社会政策に不満を漏らし、とくに医療保険政策にもっと大幅な改善を求めている。
 「小さな政府」(ネオコンの基盤)はもはや無用。「大きな政府」が良い。「ケネディやジョンソン民主党に戻ろう」と無責任な社会保障政策を言い募った左翼のメンタリティにアメリカ人は回帰しつつある。

 これまではゲイやレズ同士の結婚、中絶を認め移民制限の緩和を言う共和党内左翼は、ブッシュ政権の共和党では少数派だった。
個人主義的な西部共和党、モラルを重んじ宗教を尊ぶ南部共和党の両翼にのってブッシュ丸は航行してきた。その船は難破した。
 エバンジュリカル(聖書福音派)も選挙での勝利には絶望的な展望しか抱いていない。

 日本は米国次期政権の左傾化、反日路線、貿易保護主義路線に心構えを強めよ
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 緑茶が健康的... 『大国の興亡... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。