井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

沼の原からトムラウシ山へ登る! その3

2014-08-12 10:16:54 | 大雪山系の山
 昨夜はウトウトと寝ていると目の端が光ったような気がしました。
おやっ!と思ったらゴロゴロと雷が鳴ります。
天気予報では、明朝未明まで大気が不安定なので所によっては雷が発生すると報じていました。
そのとおり、雷雲が大雪の山並みを覆っているようです。

 しかし、今夜も小屋泊まりですので雷や雷雨が来ても心配することはありません。
何度か瞼越しに光る稲光を見ていましたが、そのうち寝てしまいました。


 8月1日(土曜日)

 周りがざわついてきたので目を覚まし、時計を見るとまだ3時半です。
そのまま寝袋の中でウトウトしていました。
4時になったので私も起きます。

 朝食を済ませて外へ出て上を見ると曇り空ですが空気は暖かいのです。
風は時折強く吹きますが、歩くには支障がない程度です。

 5:05分、用意が出来たので出発します。
今日は沼ノ原へ下山するだけですので気楽なものです。
ヒサゴ沼からいきなりの登りですが、下草が濡れているのでパンツの裾がグジャグジャに濡れてしまいます。

今日の天気なら稜線で風に吹かれるとすぐに乾くと思い気にしないようにします。
化雲岳の分岐を過ぎて風が強くなりましたが、気にするほどではありません。
視界も200mはありそうです。
   
   相変わらずのお花畑が癒してくれます。

   
   濡れた木道は滑るので気を付けながら歩きます。

   
    トリカブトの花が咲いていました。

 6:45分、五色岳に到着です。
   
   ここには若いカップルが休んでいました。

 このカップル、お互いにスマホに夢中で会話がありません。
山の中でもスマホに夢中とは、これが今の世の中ですね。

 ここからは、五色ヶ原に向かって長い降りが続きます。
しかし、その降り道も木道がほとんどですのでドンドン歩けます。 

   
   登ってきたときに見た景色ですが上から見るとまた違った景色に見えます。

   

   お花畑も見る角度が違うと新鮮です。
   

   
   エゾツガザクラの群落です。

 やがて水場に降る急な坂道の上に来ました。
この斜面は登山道を流れる水によって深くえぐれています。
泥の足場がツルツル滑ります。
両側にある笹や灌木の枝を利用しながら慎重に降ります。

 8:45分、降り終えると水場です。
ここで一休みします。

 ここまで来ると、あとは沼ノ原からの急な降りがあるだけです。
その沼ノ原を歩く辺りで雲が切れてきます。
太陽が顔を出すと急に暑くなってきます。

   
   トムラウシ山が見えてきましたが、山頂部には雲がかかっています。

 あとは単調に歩きます。

 10:40分、登山口に到着です。
やあ、今回の2泊3日のトムラウシ登山はこれで終わりです。
トムラウシ山の山頂は天気が悪く視界が無かったものの、50年振りに表大雪からトムラウシへのルートを歩くことが出来たので満足のいく山行でした。

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  今回の小屋泊まりで2組のガイドツァーと一緒になりました。
 そこで気のついたことですが、忠別岳で一緒になったガイドは浄水器を持ってきていました。
 私は雪渓の融けた水や沢水を飲むのにいちいち消毒や浄水などはしていません。
 しかし、本州から来る人達はエキノコックスなどから身を守るために沢水を煮沸してから
 飲むようにするなど気を遣っている人が沢山います。

 そういったことを考えるとガイドツァーでは浄水した水をお客に提供するのは
 当たり前となっていくと思います。

 エキノコックスについては、根室に住んでいたときに講演を聴き勉強したことがあります。
 この時の経験もありますが、私はそれ以前から沢水を飲むことに抵抗を持っていません。
 エキノコックスは全道でも大半の市町村が感染地域に指定されています。

 エキノコックスは、寄生虫が肝臓において卵が幼虫になると慢性の肝臓病のような症状が
 出てきます。
 この時にエキノコックスかもしれないとの情報を医師に伝えれば超音波診断などで肝臓を
 見れば直ちに原因を掴むことが出来ます。

 もし、肝臓に幼虫がいた場合には、外科的な手術でその部分を切除すれば良いだけです。
 それで全治します。

 エキノコックスはキツネを媒体としていますので、観光客がキツネに手渡しでお菓子など
 やっている行為の方が感染する危険性が高いと思います。

 沢水にキツネの糞などが入り込み、その沢水を飲んで感染する確率はとても低いものです。

 そんなことから、私はエキノコックスを心配しないで沢水を飲んでいます。
 
  





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2 コメント

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Unknown (ゆず)
2014-08-14 13:17:26
「トムラウシ遭難はなぜ起きたのか~低体温症と事故の教訓~」 という本を読んだばかりだったので、今回のMIKOさんの花や風景の画像、複雑な思いで眺めました。もちろん、MIKOさん始め、こちらのブログの読者の皆さんは山のベテランさんばかりですし、大丈夫だと思いますが、低体温症にはくれぐれもお気を付けくださいね (ノд・。)
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今回のルートは・・・ (MIKO)
2014-08-14 17:32:43
 ゆずさん、コメントありがとうございます。

今回歩いたヒサゴ沼からトムラウシ山の山頂山頂までのルートは、まさにあの遭難した人達が歩いたルートと同じです。

ヒサゴ沼から稜線に出ると風を防ぐものはありません。
北海道の森林限界は本州と違ってとても低いのです。
ですから、稜線で風に吹かれるとまともに当たってしまいます。
その風が刺すように冷たければ瞬く間に体温の低下を招きます。

遭難したときには強い風が吹いていました。
寒さを防ぐ為の防寒衣料などを持っていたのにそれを使わないで低体温症を発症した人もいます。

天気が良ければ高山植物の花を楽しみながら歩けるルートもいったん天気が崩れると自然の持っている力に命さえ奪われるということですね。

山に登るということは、その自然の力に逆らわず歩かせていただいているということです。

人間の都合を優先させる事の出来ない世界だということを肝に銘じる必要があります。
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