地下鉄朝潮橋のホームから見る景色は、一気に冬。
朝から神戸の夫人に「火曜日に行くからね」と伝えていた。
並木道のプラタナスも、落葉・・。 今日の空は灰色、今にも雨が降り出しそうな。
今日の夫人へのお約束は、換気扇の掃除である。
震災復興住宅、換気扇は一度も掃除をしたことがなくて、業者に頼んでも一軒だけではって来てもらえなかったそうだ。
換気扇の掃除くらい私が・・とかって出た。 お惣菜に加え、良く落ちそうな洗剤も持参した。
今日のお惣菜は、シソおにぎり、おでん、筑前煮、高野豆腐、ほうれん草の胡麻和え、チキンカツ、大根と人参のなます。
今日は少ない目。
食後一服して、換気扇の掃除にとりかかる。 フードから全部はずすが、網の油汚れがひどくて大変だ。
夫人は私と違って細やかにきれい好きなので丁寧に仕上げなければ(我が家のと違うし)内心そう思いながら軽い緊張。
大きな網は2枚、一生懸命こする。 なかなかやっかい、汗がぽたぽた流れる。
「ごめんなさい、汗拭いてもらえません?」 何しろゴム手袋持参を忘れたので油まみれの手では汗を拭けない。
「ごめんなさい、またお願い」 まるで手術室で汗を看護師さんに拭いてもらっている、ドクターみたい。
笑いながら、夫人が私の顔の汗をタオルで拭いてくれる。
「私こんなこと、母にもしてもらったことないのにね」 そう言うと、夫人は嬉しそうだ。
タイルやその回りのものも、自然に油汚れだったが、時間をかけたらきれいになった。
夫から電話があり、夫人に出てもらった。
「おかん麻雀で遅くなるから、うちのにゆっくりして帰ったらええって言うとって」
それではゆっくり・・珈琲を入れてくれて話していると、外は真っ暗。
夫人の方が気遣って「もう、帰ってくれたらいいよ」
「年末までにまた来ますから、今度はけんつくさんと一緒に」
「見送らなくていいですよ」と言うのに、玄関前の通路に出て、暗いのに私が駅へ向かうのを見届けるように、
いつまでも立っていた。 小柄な身を乗り出して。
ちょうど7時に着いて電話をしたら「おかずがいっぱいあるから、もう食べたよ」 嬉しそうだった。
セイ君の実家に行った長女が、ご両親から和歌山の海の幸を沢山もらったと帰って来た。
夫の大好物なので今夜のお酒のあてに嬉しい。
太刀魚の浜焼きもだが、しらすが絶品。
神戸の夫人のお役に立って、まるでそのご褒美みたいな思いがけないお土産。
嬉しく有り難い夜。