僕は僕なりの“マイ”Life

死ぬ前に読みかえして「クスッ」と笑ってみたい

第5回:中国と日本料理

2014年05月24日 21時24分33秒 | 中国散歩道
行きつけというほどではないが、気が向いた時に行っていた日式うなぎ屋がある。
このところ出張が多くご無沙汰していた。先週は軽く風邪気味だったので、病み上がりにうなぎでエネルギー補給をしようと意気込んで行ってみた。この店の大将は、以前名古屋でうなぎ屋をやっていた料理人で、お客からの誘いがあり、縁があって中国にやって来た人。

意図的にこの店に来る客でなければ、絶対に気が付かないだろうという入り口を通って店内に入る。いつもは目の前でうなぎを焼く大将の姿が見えるのだが、この日は見えなかった。
従業員に話を聞くと、その大将はすでに帰国していた。
数ヶ月前に話をした時は、まだまだここでうなぎを焼き続ける、と言っていたので、自主的に帰国ということではないだろう。もう60歳をすぎていたので、ビザの更新ができなかったというのが理由かもしれない。
気になって「老板(中国語で上司という意味)はなぜ帰国したのか?」と中国人の店長に理由を聞くと、どうもあまり良い反応が返ってこない。どちらかと言うと、あまり話したくない様子。
そして、「あの人は老板ではないですよ。料理長でもありません。ただ、うなぎを長い間、焼いていた経験があったので雇っていただけです」と素っ気ない。
少なくともお世話になり、それなりに好意を持っていたのであれば、たとえ社交辞令であっても「日本に帰ってしまい残念です」くらいの言葉はあるだろう。
“大将”という呼び名がふさわしい面倒見の良さそうなおじさんではあった。
だが日本人、特に年配で頑固な職人気質の人と、何事にも自己主張の強い中国人とでは、どこかで合わなかったのかもしれない。

さて。肝心のうなぎの味はというと、以前と変わりないように思える。
つまりお店の従業員構成が中国人+日本人から中国人だけに変わって、料理の質と言う点ではいまのところ同等を維持している。ただし、日本人料理人がいたときは、お昼になると次々と日本人客が入っていた記憶がある。この日は時間がちょっと早かったとはいえ、11時半頃に入店して12時すぎに店を出るまで客は僕ひとりだった。料理の腕、センス。店の経験という点で、たとえ「普通かな」という人であっても、日本人向けのお店には日本人はいた方が良いのかもしれない。それなりにコストはかかるかもしれないが、それは日本人客に対する安心の提供になる。日本人の料理人がいるから、この店は大丈夫だろうという、感覚がお客に与えられるのは間違いないだろう(実際にそうだとは限らないが)。そして、特に海外では日本人は日本人と話したがる傾向にある。ましてや、その人のファンが多ければ多いほど、料理にマイナスがなくとも、その店へ行きたいという気持ち的にはマイナスとなる。
味が良ければ自然と客足は戻るでしょ、というのは一般的には正しい考えと思う。ただし、この激戦区北京でしかも日本料理(さらに比較的高級路線)という大衆的とはいえないカテゴリー。早々に日本人顧客を増やさないと先行きが難しいかもしれない。

※うな重:関西風

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