無錫駅の構内になるコンビニエンスストア。
若くも年を取っているようにも見える女性がコンビニから外に出た。
その瞬間。
レジに座っていた店長と思える男性が突然何かを怒鳴り、その女性を指差した。
店員数名が慌ててその女性を追い駆け、捕まえて店内に引きずり戻してきた。
何が起きたのか分からず、眺めていると、どうやらその女性が万引きをしたようだった。
店員数名がその女性の身体検査をすると、コートの中やポケット、カバンから乾物や飲み物がこぼれ落ちてきた。
最初、「これは自分で買ったものだ」と主張していた女性も、諦めたらしく、「物価が高すぎる、母親が病気なんだ」と言い訳を話すようになってきた。
店長は「物価が高いのは関係ない!」と、他に盗んだものがないか店員に指事を出していた。
すべての商品が出されたところで、突然その女性がひとつの乾物を握りしめ、「これだけは私が買ったんだ!」と大声で騒ぎ始めた。
違うと言い、その乾物を取り返そうとする店員、必死に抱える女性。
その内、店長が警察に連れて行けと怒鳴り出した。
そんな様子を見ていられなくなり、僕はひとり店を出た。
万引きは許される行為ではない。それは常識だろう。
その一方で、万引きをした女性に同情もしてしまった。
数日前、北京に住む知り合いが、家賃、食べ物、雑貨、何もかもが高くなっている。それなのに給与は低いまま。もう暮らしていけない。と嘆いていたのを思い出したからだ。
所得格差を示すジニ係数という数値がある。これは所得格差を0から1で表したもので、0で完全に平等、1に近付くほど格差が広がり、0.4を超えると暴動が起こる危険レベルと言われている。
中国の公式見解では12年のジニ係数は0.47といわれ、すでに危険レベルまで達している。
それもそのはず、中国では1%の家庭が富の41%を独占している。
米国の場合5%の人口が60%の富を独占と言われているので、米国よりも格差が大きい。
その女性が盗んだものは高く見積もっても100元(約1,500円)もいかない。もしかしたら50元以下かもしれない。
正義ぶるつもりはないが、仮にその1%の家庭から99%の家庭に多少なりとも富が分配されるような仕組みになっていたら。こんな万引きも起こらなかったのではないか。そう思うとどこか残念でならない。
都心部で見せられるバブルの様相。この狂乱の行方はどこにあるのか。
歪な支配を続けるこの国に本当の意味での平等という日はやって来るのだろうか。
若くも年を取っているようにも見える女性がコンビニから外に出た。
その瞬間。
レジに座っていた店長と思える男性が突然何かを怒鳴り、その女性を指差した。
店員数名が慌ててその女性を追い駆け、捕まえて店内に引きずり戻してきた。
何が起きたのか分からず、眺めていると、どうやらその女性が万引きをしたようだった。
店員数名がその女性の身体検査をすると、コートの中やポケット、カバンから乾物や飲み物がこぼれ落ちてきた。
最初、「これは自分で買ったものだ」と主張していた女性も、諦めたらしく、「物価が高すぎる、母親が病気なんだ」と言い訳を話すようになってきた。
店長は「物価が高いのは関係ない!」と、他に盗んだものがないか店員に指事を出していた。
すべての商品が出されたところで、突然その女性がひとつの乾物を握りしめ、「これだけは私が買ったんだ!」と大声で騒ぎ始めた。
違うと言い、その乾物を取り返そうとする店員、必死に抱える女性。
その内、店長が警察に連れて行けと怒鳴り出した。
そんな様子を見ていられなくなり、僕はひとり店を出た。
万引きは許される行為ではない。それは常識だろう。
その一方で、万引きをした女性に同情もしてしまった。
数日前、北京に住む知り合いが、家賃、食べ物、雑貨、何もかもが高くなっている。それなのに給与は低いまま。もう暮らしていけない。と嘆いていたのを思い出したからだ。
所得格差を示すジニ係数という数値がある。これは所得格差を0から1で表したもので、0で完全に平等、1に近付くほど格差が広がり、0.4を超えると暴動が起こる危険レベルと言われている。
中国の公式見解では12年のジニ係数は0.47といわれ、すでに危険レベルまで達している。
それもそのはず、中国では1%の家庭が富の41%を独占している。
米国の場合5%の人口が60%の富を独占と言われているので、米国よりも格差が大きい。
その女性が盗んだものは高く見積もっても100元(約1,500円)もいかない。もしかしたら50元以下かもしれない。
正義ぶるつもりはないが、仮にその1%の家庭から99%の家庭に多少なりとも富が分配されるような仕組みになっていたら。こんな万引きも起こらなかったのではないか。そう思うとどこか残念でならない。
都心部で見せられるバブルの様相。この狂乱の行方はどこにあるのか。
歪な支配を続けるこの国に本当の意味での平等という日はやって来るのだろうか。
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