シュウカイドウ ピンクの花が美しい
(前回のつづき)
吹屋の家々はほとんどが江戸時代から明治・大正期に建てられたものです。町は標高500mの西地区(千枚・中町・下町)と標高450mの東地区(白石・下谷)とに分かれています。中でも吹屋の中心を成すのが現在、私が歩いているこの中町です。駐車場から、通りを歩いて、町並が途切れる商家の庭先で、見事なピンクの花が目に留まりました。
その花はシュウカイドウで、その姿はゼラニュームにも似ています。花に近づきアップで撮影をしていると、畑から帰って来た農作業姿のひとりのおばあちゃんと目が合いました。お互いに笑顔で挨拶をすると、花が好きそうな私に好感を持ったのでしょうか、自慢のその他の花についていろいろ説明をしてくれました。色白のおばあちゃん、若い頃はさぞかし美人だったろうと思います。
吹屋の町のことについて、いろいろ話しているとそのお宅の話になり、
「この家は築200年でな、この前もBSジャパンの、‘100年の町なみ’という番組で取材に来たよ。中を見る?」
と聞かれたので、厚かましいと思いながらも、古い建物に興味のある私は、
「よければ是非」とその厚意に甘えることにしました。
表はお店になっていますが、鍵がかけてあるので、勝手口から一緒に入らせてもらいました。
「片づけるのが苦手」というこのおばあちゃん、ちらかっているのではありませんが、物が多いのでしょう。雑然としています。台所から入ると、黒く塗られた低い天井がありました。ところどころに天井にくっついている箱形の木箱のようなもの、これは2階用に火鉢を入れた暖房のためのもののようでした。私は初めてみました。
「箱階段もあるよ!」と2階に通じる箱階段も見せてもらいました。その他、古い資料も見せてもらいましたが、その多くが大正時代のものでした。
おばあちゃんの無くなったご主人は、6人兄弟の長男で、お盆、正月にはみんな帰ってくるので、長男の妻であるおばあちゃんは大変だったようです。
古い資料 大正時代のものでした。
そのあと、世間話になって、備中松山踊りの話になりました。吹屋地区の代表?が少ない人数で優勝した話、海抜0mからお嫁に来た話。(出身は県内の浅口市付近?)スタンドもやっていたということで、そのため資格も取ったという話。(通りを挟んでその遺構のようなものがあり)。
そして、自慢の畑もみせてもらいました。野菜や花がびっしり植えられ。これだけでも管理はたいへんだろうな、と思いました。今年で御年82歳、子どもを有名大学に行かせ、ひとりで、現在も店を管理するおばあちゃん。とても陽気であっさりとした人柄にはとても好感が持てました。子どもたちが先行きを心配してくれるが、まだまだ、元気で一人でいたい、というおばあちゃんでした。
時間もだいぶ過ぎ、町並みも散策したいので、お礼を言ってお宅をあとにすることにしました。意外な町人との触れ合い。吹屋には何度も来ていますが、今回のようなことは初めてでめったできない体験に少し得をした気分になりました。また次回くるときまで元気でいて欲しい。素直にそう思いました。(つづく)
おばあちゃんの小さなお店
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