山に陽が差し込んでとても美しく感じます。
日生町で殻つきの牡蠣を買ったあと、国道250線で、同じ備前市の伊部(いんべ)を目指しました。2号線に出るまでは比較的、道もすいており、左手に見える海を眺めながらの快適ドライブです。国道2号線に出るとすぐに、起点となる、岡山県備前陶芸美術館と備前焼伝統産業館が見えてきます。この二つの建物は以前、入ったことがあるのですが、実は町並みはまだ散策したことがありませんでした。備前焼伝統産業館に車を停め、1階にある観光情報センターで、パンフレットを入手します。
町並みは、主に2号線の北側にある旧山陽道で、我が家の前を通っている旧山陽道がこの道につながっているのかと思うとなぜか親しみを感じてしまいます。駐車場からまっすぐ北に延びる道路沿いに目をやると、山だけに太陽の陽が射しこみ紅葉した山々の木々がとても美しく見えます。そしてあちこちに見える、レンガの四角い煙突が印象的です。そういえば、新幹線でどこか池の上を通過するころ、電車からもこのような景色を見た気がしました。
まず、お茶を飲もうと喫茶店を探したところ、通りの角のところにあるギャラリー&喫茶「里房」という看板が目に留まりました。店内は、備前焼の商品がずらりと並び、カフェは一番奥まったところにありました。小さな花入れに生けてあるグリーンがあちこちにあり、なかなかのセンスです。これだけでも随分、癒される感じがします。ガラス戸から隣のお宅をみると、たくさん実の着いた柿の木が見えました。お店の方によると「最初の人間国宝になられた、金重陶陽さんのお宅ですよ」とのこと。
備前焼の人間国宝といえば、この備前焼中興の祖といわれる金重陶陽、そして藤原啓、山本陶秀、藤原雄(以上、故人)、伊勢崎淳の各氏。
ガラスの陳列ケースには、山本陶秀の作品があり、160万、170万の値段がついていました。抹茶セットを注文すると、もちろん皿もお茶碗も備前焼。なかなかの味わいです。お皿は緋襷(ひだすき)といって薄茶色に赤くて太い線が入っており、お茶碗は、胡麻(ごま)がかかって、なかなか趣のあるもの、この地ならではのカフェの器です。
少し休憩したあと、お目当ての通りを散策することにしました。備前焼のお店が、小さいものから大きなものまで立ち並んでいます。観光客と思われる人もぱらぱらという感じで、もちろん呼び込みのようなものはなく、とても静かな町並みです。今回は、散策が目的で買う気持ちはありませんでしたが、各お店のショーケースにある、亀やカタツムリ、七福神といった小物もあってみるだけでも結構楽しいものです。
これだけお店があると、何か買おうという人は迷いますね。店の構えから入りにくい店やそうでない店いろいろあります。これらのお店の形態ですが、窯元、作家、さらに陶商と呼ばれるものがあって、ほんとにさまざまです。
パンフレットにあった、岡山県備前焼陶友会会員名簿によると、それらを合わせ、その会員数、178とありました。
茅葺きと紅葉の見事な取り合わせ
そして通りを西に進むと、不老川の橋のたもとに茅葺き屋根の民家と見事な紅葉が目に留まりました、この茅葺きの民家は、ギャラリーとして使用されているようで、見学自由となっていました。塀にかかるモミジがとても美しく、思っても見ない、うれしい遭遇でした。もう少し先まで行って引き返し、市の重要文化財になっている天保窯や天津神社を見てまわりました。土地柄、神社の狛犬も備前焼でした。そして町のいたるところにみられる積み上げられた松の割木。焼物の里ならではの風景です。
いろいろ見ていると、なんだか備前焼の良さも少しはわかったような気がしました。
茶道に少しだけ係るものとして、今度来るときはお気に入りの抹茶碗でも見つけたいと思いながら、伊部をあとにしました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます