立ち枯れしたトウヒが独特の景観を作り上げています。
またしても、アルディ観光の‘あるあるツアー「近畿の屋根・大台ケ原(日出ヶ岳)山頂と大蛇嵓からの絶景」’に参加しました。当初、10月26日の予定でしたが、台風の接近により止む無く1週間ずれて、11月2日になったものです。
井原駅前を早朝4時出発ということで、当日の起床時間は私にとって前代未聞の午前3時となりました。井原からの参加者は私一人でした。チャーターされたのはいつもの一丸観光のバスでした。距離が長いためか、運転手は2名体制でした。このあと、笠岡、鴨方、新倉敷と参加者を拾い、総勢12名のツアーとなりました。車中は、当然お休みタイムで、車内の照明は落としてありましたが、眠ろうと思うとなかなか眠れないものです。睡眠不足の状態で、果たして歩くことができるのか少々不安でした。
大台ケ原駐車場に着いたのは、ほぼ予定時刻の10時半過ぎ、実に6時間を要したのでした。紅葉は中腹あたりが一番きれいでした。停めて撮影をしたい場所もいくつかありましたが、ツアーではなかなかそうもいきません。上の方は残念ながら終わっていました。
すでに駐車場は満車状態、ということで路上駐車が延々と続いていました。いい天気だったので登山者がいつもに増して多かったのでしょう。しかし、バスの駐車エリアは十分に確保してあるので駐車に関する心配はありません。添乗員のOさんからコースの説明を受け、トイレを済ませてビジターセンター横の登山口に移動しました。遊歩道が整備されているので、まず道に迷うことはありません。ということで、できるだけ2名以上で行動してください、とのことでしたが、前回の剣山で遅れたこともあって、ひとり急ぎました。
最初のポイントは、日出ヶ岳(ひでがたけ)、大台ケ原(東大台)の最高峰です。木製の立派な展望台が整備されています。ここに至る木道が最初の急坂です。それにしても何と若者の多いことでしょう。色とりどりのスタイルでとても華やかです。特に若い女性のグループが目立ちましたし、おひとりさんも多く見かけました。前から後ろから聞こえてくる女性が話す関西弁はとても柔らかくて気持ちのよいものです。展望台周辺では、昼食や休憩を摂る大勢の人の姿がありました。中にはビールを片手に慣れた手つきで鍋物を作る人も。途中で一匹のコーギーに出会いました。飼い主から与えられた水をしきりに飲んでいました。足が短い犬種なので、坂道の多いこのコースは過酷に違いありません。
日出ヶ岳をあとにして、急な木道を下さると見えてくるのが正木ヶ原(まさきがはら)です。大台ケ原といえばこの景色、といわれるくらいで、枯れた白いトウヒの木が独特の景観を作り出しています。パンフレットによると、この立ち枯れは、伊勢湾台風で受けた被害の名残だそうです。それにしても、枯れた状態とはいえよくもっているものだと思います。さらに進み牛石ヶ原で休憩をする大勢の人を横目に、次の目的地・大蛇嵓(だいじゃぐら)に向かいます。最初の説明によると下がってまた登るとか、しばらく歩くと前方に岩らしいものが見えてきました。しかしそこには順番を待つ大勢の人の姿がありました。こんなところで渋滞に遭うとは。あとで聞いたところによると山歩き教室なるものがありその集団だったようです。
徐々に前に進むと、ついに大蛇の頭と思われるような大きな岩の先端に到着しました。安全のため、一応鎖が張られていますが、さすがに緊張します。多くの人が「腰が引けた状態」でかがみこんでいます。実は数週間前、NHKの番組で大台ケ原を紹介していました。そのときから、この大蛇嵓からの絶景をこの目で見たいとずっと思っていました。実に800mの断崖絶壁に立つ大蛇嵓、カメラの最高の被写体でもあるわけですが、しっかり立てないのでいい写真は撮れそうもありません。とにかく枚数だけはしっかり撮っておこうと思いました。
本日一番の目的を終えて、気分的にほっとしたのか、途中でお昼にすることにしました。といってもおにぎり1つだけです。5分ほど休憩して最後の目的地シオカラ谷に向かいます。それにしても途中で今日のメンバーには、ほとんど会いませんでした。早いのか遅いのか少し不安もあってついつい先を急ぐことに。道はどんどん下って行きます。クマザサの茂る道です。またしても前に女性の集団と一緒になりました。集団に続く感じでさらに長い下り坂を進むと、渓流が見えてきました。多くの人がその渓谷に降りて休憩をしていました。そして、その水のきれいさに感心します。先日のNHKのテレビで、ここにはこの地ならではの、サンショウウオがいるとの紹介がありました。黒くて目の大きい愛らしいサンショウウオです。テレビでやっていたように大きな石を何個がひっくりかえしてみましたが、そう簡単に見つかるはずもありません。
ひと休みしたあと、もとの遊歩道に戻り、シオカラ吊橋を渡るといきなりの急こう配の登りが待っていました。やっとのことで登りつめ、しばらく平坦な道を進むと、またしても最後の上り坂、ゆっくりゆっくり進み、クマザサの林を抜けるとやっと駐車場に出ました。所用時間は4時間、そんなに時間がかかったとは思いませんでした。あっという間に歩いたという感じです。何と断トツの一番でした。万歩計で歩数を見ると15000歩を超えていました。メンバーの中には野生のシカを見た人も何人かいたようでした。でも、あの大蛇嵓の写真が撮れただけでも満足の一日でした。
このあと、また6時間以上もかかって井原へ帰ってきましたが、着いた頃には、すでに23時を過ぎていました。井原を起点とする日帰り旅行の限界だと思いました。もちろん疲れはありましたが、それよりも日本百名山の一つをクリアした達成感の方が勝っていました。アルディ観光のOさん、バスの運転手さん、大変お世話になりました。
大蛇嵓からの絶景、足が竦みます。
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