ねことわたしのやわらかな日々

17年一緒に暮らした愛猫を亡くしましたが、日々のささやかな幸せを、
手のひらで温めて暮らしています。

分相応に畏れる

2017年04月11日 21時15分00秒 | 社会
アマゾンは思ってもみない本を
時々勧めてくれるものだから
自分では見つけないような本を
つい買ってしまうことがあります。

先日読んだ本も、まさにそれ。
田中康弘氏による「山怪」。
長年、マタギや猟師など
山で働く人々から聞き取った、
山にまつわる不思議な話。

聞き取った話を聞き取ったまま
淡々と書き記しただけで、
オチも説明も勝手な解釈もない。
そこがかえってリアルで
多分きっとこういうことも
あるだろうなというお話ばかり。

(週末、桜は満開でした)

日本人にとって、かつて山は異界。
神さまがおわす聖地だったり
死後に魂が帰ってゆく場所だったり
人が足を踏み入れてはいけない、
禁足地も少なくなかった。
「何かがいる」感覚は自然なもの。

私たちの多くは、こうした不思議を
オカルト的に面白がるだけだけど、
これまでこうした「何かがいる」感覚が
大いなる自然への畏敬や畏怖となって、
「ヒトの領分」というものに制限を設け
むやみに大自然に立ち入ることを控え、
アニミズム的八百万の神々への信仰と
自然そのものをも守ってきたのかも。

ヒトとして「分相応に畏れる」感覚が
日本人を日本人たらしめてきたのなら、
こうした山での怪異を語り継ぐことには
それなりの意義があるのかもしれないな。
そんなことを思いながら読んだ本でした。
コメント
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