ねことわたしのやわらかな日々

17年一緒に暮らした愛猫を亡くしましたが、日々のささやかな幸せを、
手のひらで温めて暮らしています。

この世の息

2011年08月01日 22時19分00秒 | 出会い
一月ほど前、ふと新聞の広告欄で見かけて
なぜか心惹かれた本があって。
歌人夫妻が死に別れるまでの、相聞歌集。

その数日後、何となく録画した番組が
この世の息」と題された、
歌人夫妻のドキュメンタリー。
先日、ようやくその録画を観たら、
新聞の広告欄にあった本の夫妻と
同一人物だと分かって。

それどころか、はっと思い立って
朝日新聞の月曜版を引っ張り出してみたら
残されたその男性歌人は朝日歌壇の、
わたしがいいなあと思っていた選者の方。
今までは名前も覚えていなかったけれど。

偶然もあまり重なると、これも縁かと思い、
新聞で見かけた本「たとへば君」を読みました。
大学時代に出会った二人が恋をし、
結婚をし、家庭を築き、40年の年月を経て
そして死に別れるまでの、悲しく美しい軌跡。



乳癌でこの世を去る妻、河野裕子さんの
「長生きして欲しいと 誰彼数えつつ
つひには あなたひとりを数ふ」。
「手をのべて あなたとあなたに触れたきに
息が足りない この世の息が」。

その河野さんを支え続けた夫、永田和弘さんの、
「歌は遺(のこ)り歌に私は泣くだらう
いつか来る日のいつかを怖る」。
「最後まで決してきみをはなれない
早くおねむり 薬の効くうちに」。

40年の時を経て尚、痛いほどに惹かれあう魂の
切なさ、美しさに、涙することしか出来ず。
副題に「40年の恋歌」とあったけれど
死すら分かつことの出来ぬ二人の、恋歌でした。
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2 コメント

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Unknown (匿名さん)
2011-08-08 22:54:07
本当に痛い程の魂の繋がりですね...
花うさぎさん出会って下さってありがとう
何故って、長い月日掛かってこのブログを書かれたでしょう..*...私その感動のお裾分けを頂きました。
花うさぎさんのブログに出会えた私も幸せです。
ありがとうございます
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Unknown (花うさぎ)
2011-08-08 22:58:18
どうしてもお礼が言いたかったので、コメントとして公表させていただきました。「出会ってくださってありがとう」なんて、うれしくてちょっと涙が出ちゃいました。こちらこそ出会いをいただいて、本当に感謝致します。素敵な言葉とお気持ちが、とてもうれしいです。本当に本当に、ありがとうございました。
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