「これ、頂いていいの~」と、目を輝かせるのは、鱧落としや可愛らしい山鉾の形の和菓子です。
今年、夏休みになったばかりの頃、ミモロは、高野川沿いにある「山ばな 平八茶屋」に出かけました。
ここは、安土桃山時代に鯖街道の茶屋として創業した懐石料理の老舗です。
この日、ここの広間を会場に、京都の伝統文化に親子で触れるイベントが開催されました。
会場には、小学生、中学生の親子連れが集まっています。
このイベントは、「Kyoto Sustainable Network」という京都の伝統文化の継承者が集まり、伝統文化、地球環境について、理解の促進と魅力向上、後世への伝承に寄与することを目的に活動する方々が、「文化庁の「子供たちの伝統文化の体験事業」により、開催したものです。
3つのグループに分かれ、子供たちの体験授業を開催。ミモロが参加したのは、そのうちのひとつ「暑い夏に涼をとる暮らし」をテーマにした授業です。
ミモロは、ネコながら特別にママといっしょに参加することになりました。
はじめに琴の演奏が…
箏曲家の大谷祥子さんおよびお弟子さんたちの演奏が行われ、琴の音色で涼しさを感じます。
「素敵な音色でした~。中学生や高校生の方たちの演奏も見事でした~」とミモロ。
「そう、みんな一生懸命練習したんですよ~琴の音色は、日本の風物を表現しています」と大谷さん。
平安時代の「源氏物語」をテーマに涼を誘う創作曲を披露していただきました。
続いて、聖護院八ッ橋総本店の鈴鹿加奈子さんによる八ッ橋やお菓子にまつわるお話と和菓子職人さんによる実演が行われました。
米粉とニッキ、砂糖を材料に焼いた香ばしい八ッ橋の歴史は江戸時代から。「生八ッ橋は、50年ほど前にできたお菓子です」と。
その生八つ橋(焼いてない八ッ橋)を使い、新たなお菓子をいろいろ生み出しています。
職人さんの実演に興味津々の子供たちでした。
さらに「山ばな 平八茶屋」の園部晋吾さんが、夏の味覚、鱧の骨切りと鱧落としの実演と盛り付けを見せてくださいました。
「鱧はすごく生命力が強い魚で、夏でも瀬戸内から京都まで生きたまま届けることができたんです。でも、細かい骨がたくさんあるので、それを細かく切って食べる工夫がなされました」と。
見事な包丁さばきに、子供たちはくぎ付けに…。
料理やお菓子は、涼を誘う器に盛られます。季節によって器を変えるのも、日本の伝統文化なのです。
高野川の涼やかな川音が聞こえるお座敷…そういう場所でお料理をいただく体験も子供たちにとっては、初めてのこと…。
ミモロも、試食させていただきました。
「う~鱧の落とし…」
そして、生八ッ橋は、「祇園祭」の山鉾の形です。
「美味しかった~もっと食べたかったけど…」とミモロ。これはあくまで試食ですから…。
そして最後に、「千本銘木」の中川典子さんによる日本建築の木のお話などを伺います。
「使う場所によって選ぶ木材は違うんですよ。今、使われている木材は、ずっと前に植えられたもので、木材になるには、すごく長い年月が必要なんです。山を大切に守っていかないと、木材はできません」と。
「この松ぼっくり、環境によって生き残るために、大きくなったんだって~」と、とても同じ種類の松とは思えない松ぼっくりにびっくりするミモロでした。
日本の建築には、さまざまな木材が使われています。それを意識的に見ることも子供たちにとって新たな学びに…。
「はい、これお土産…」と中川さんからみんなに渡されたのは、ヒノキの薄い削りカス。これをお風呂に浮かべるとヒノキ風呂になるそう…「カスじゃないね!」とミモロ。
京都には、伝統文化を担う方々が大勢いらっしゃいます。その方々から、直接、いろいろなお話を伺えるのは、なんとも幸せなこと。「いいね~京都の子供たち…」と思うミモロです。
子供たちにとって、毎日が新しいものに触れる経験と学びの日々。コロナ禍で、いろいろな体験をする機会が失われたことは、大人が思う以上に大きなことなのだと感じます。
きっとこの日のイベントは、参加した子供たちにとって、大切な経験になったはず…。
イベントの後、ミモロは、「山ばな 平八茶屋」のお庭を巡りました。
広い敷地に建つ客室。宿泊もできます。
「ミモロちゃん、お久しぶりです~」と、お目にかかった女将。ミモロとはお茶のお稽古でご一緒したことが…。
「素敵な場所…今度、ゆっくりお食事しに伺います」とミモロ。名物の「麦めし」が食べたいのでした。
歴史ある場所だけに、岩倉具視、夏目漱石、北大路魯山人など顧客も歴史的人物がいろいろ。
「すごいところなんだよね~絶対、また来よう…」
夏の暑さもここでは、少し忘れられそう…そんな涼を感じさせる場所です。
*「山ばな 平八茶屋」の詳しい情報はホームページで
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