またかのじょの作品に名前をつけてみました。浴衣を着ているので、日本名です。原題は「花火」。
かわいらしく見えますが、実はこの子は偽物です。モデルになった少女が、偽物だったからです。かのじょは半ばそれをわかっていたのですがね、偽物の女の子もなんとかしてあげたいと考えていたので、とてもきれいに描いてあります。
だが見ていると痛い。この子の中には、自分が嫌いだという心があるからです。花火をみあげてそれに夢中になっているようでいて、本当はそういう自分を演じている自分がいるからです。
かわいい女の子になりたいという心が、自分を偽りたいという心とつながっている。それゆえに、この子は嘘をついている。それが痛くて、そんな自分から逃げたい。こんな、花火に夢中になっているような、かわいい女の子になりたい。
でも本当の自分は、そういう自分ではない。演じている自分と、本当の自分との間にすっぽりはまりこんで、この子は苦しんでいる。
本当の自分から逃げている限り、そのふたつの自分の矛盾に心が激しく摩擦されて、人は苦しみ続けるのです。
この子はヴィーナスのニンフではありません。ヴィーナスのニンフたちなら、もうとっくにこの矛盾を克服しているはずだからです。