いろいろと失敗する月影は魅厘ルートではあんまりなかったので新鮮かも?
では続きどうぞ。
あとなんか李々ルートは扉絵ばっかりですが気にしない。
反転の殺戮の反転二話
なんか変な夢を見たような気がする。
朝起きたら部屋が青いからどうかしたかと思ったが、皆月の部屋だった。
部屋に入る光もなんか薄い感じだ。
…ん。これ、だいぶ早くねーか。時計どこだよ。
下で皆月寝てるし下手に探して起こすのもな。とはいえ、なんとなく二度ねする気にもなれなかったので、起こさないようにすっと部屋をでたところで、庭で正体不明のおっさんにあった。
「…あんた、誰…。」
なんか仕事人みたいなイメージだが、何の仕事かというとピンとこない風貌だ。
ちょんちょんの髪の毛に、愛想は良さそうに見えるが結構皺の言った顔。
「それはこっちの台詞だよー。…えーと、もしかして魅厘嬢ちゃんの、」
これか?って指をあげてるけど…。
「おっさん、指間違えてんぞ。素か?」
なんで小指なんだよ。俺女じゃねーぞ。っつか魅厘女なのになんでだよ。
「悪い悪い、頭じゃわかってるから気にすんな。えーと魅厘じゃなくて李々か琉留って線もあるな。」
「…空斗のダチの月影だよ」
おっさんはオーバーに驚いて、「あーあーあー、」と声をあげた。
朝からなんだよ…。
「それより、あんた本当に誰?」
「俺かい?俺はこの家の庭師だよ。関健(せき、けん)っていうんだ」
「名前、二文字か?すげーなー」
何がすごいのかはよく知らないが、健さんはなんか照れてるようだった。
「まあな…それより、お前さんからみてこの家の住人はどうだい」
?質問の意図がよくわからんで首を傾げた。
どうだい、って言われてもな。
「いいか悪いかくらい、わかるじゃろ」
「まあ、完璧悪いって思ったら家にはとまらねーけどな」
「ふむふむ。」
って、本当に庭師か?スパイの可能性とかねーの。
「まあ正直、皆月はややこしい家じゃから。お前さんにも隠し事の一個や二個はあると思うけどな」
「あー、それは皆月だけじゃねーから安心しろ。俺の家も大概ややこい」
俺は妙にきっぱりと言った。
っていうか、俺が高校でてからやらされる仕事なんて一族のスケジュール管理とか表の仕事の穴埋めとかだぞ。実は、魅厘の仕事を引き受けたのはこんな事情もあったのだ。
「ん、そっか。なかなか理解あってよろしいな。」
へらー、と笑う健さんの顔はなんというか、完璧悪意がない。
「嬢ちゃんたちも味方少ないからな。何か困ったらよろしく」
「まあ、いいけどよ…」
と、差し出された手を握る、が。
いや俺もそんな安請け合いしていいのか?
一族的に、別の仕事あったら敵に回る可能性だってなくはないんだぞ。
…俺も案外、わかってねえみたいだ。
だから、一族の仕事はすんなっつわれてたのかもしれねーな。
「健さん、相変わらずくるの早いねー、月影おはよ」
と、そこに皆月がやってきた。
「カラやんひさしぶりやね」
「いつも思ってるんだけど、健さんって話し方なんか妙だよね。まさかと思うけど、「外」からきたとか…」
「まっさかー。ないない」
「でも色々不詳だよ…そも、こんな時間に来て魅厘さん起きてるの?まだ五時半だよ」
あーーー。そら早いわ。どうりで空が変な色だと思った。
「嬢ちゃんに用があってきてるんじゃねーんだ。庭いじりにきてるだけだからよ」
小人さんか何かっぽいな…。
「でもたいてい嬢ちゃんは六時には起きてくるぞ」
「はやっ」
「それにあわせないといけないから、琉留も早い、と」
………この流れで行くと、あれか。やっぱり。
「李々だけはなんかしらん。遅い。」
「最近またちょっと遅くなってる気がするね」
「このごろちょっと寒いからな」
なんか皆月がちょっと目をぎょろっとさせた。
「寒いって、君。一年中半袖のくせして」
っていやいや。四季は一応わかってるぞ。なんか信用されてないみたいだけどよ。
まあそんなわけで、朝食は琉留作の和風のみそ汁とご飯、プラス大根の皮とにんじんのきんぴら(皮っていうと節約料理っぽいがこれは本当にうまい!)等々をいただいて、俺らは学校に。
一応その時間には李々も起きてうにょーんとなってた。まだちゃんと目がさめてないような。
「今日ゲーセンって言ってませんでしたー?」
言ってないけど、そういうことにしておくか。俺もいい加減な口してんな。
地味な料理のがしみる気がするのはなんかそろそろ年な予感。
って俺らまだ高校生だっつの。
と突っ込みたいが、割とこの辺の時期は味覚が変わって以前食べれなかったようなものも食べれるようになってくる頃である。多分。
親は食べれないようなものは強制しなかったから、小さい頃はだいぶ残してたような。…うーん、今思うともったいないな。しみじみ。
ところで、ちょっと意外な事実を出すと、李々と琉留はもう今年で二十歳だったらしい。魅厘はそれの二つ上。魅厘はともかく、双子はどう考えても嘘っぽい。
が、この家を古くから知るという健さんが言ってるんだから本当だろう。
ということで、きんこんかーんと下校時刻だ。
なんか文月にいぶかしまれてたような気がするが、スルーだスルー。
「本当にゲーセン行くの?」と、皆月。
「って言ったもんよ…」
「まあいいけど。あんまり羽目外さないようにね。」
って、本当にお前はどこの親だよ。
「あ、草二さんー」
あらかじめ皆月に下校時刻を聞いていたらしい李々がとことことやってきた。
「今日はよろしくです」
「おー」
李々はちょっとおもちゃみたいに頭をぺこっと下げた。
って、今思ったけど学校に来られたら噂されるんじゃねーの。…ま、いっか。
んが。
「…ここ、うるさくないです?」
思わぬ障害が。
しかも、こことなりパチンコやだもんなー。俺は結構平気だけど、李々はそうでもないようだった。とりあえず格ゲーするって言ったから、格ゲーの台までは行ったのだが、李々は本気で根をあげたようだった。
「うう、うるさいようーやっぱりかえりましょー」
と、涙目で言われてはやはりしょうがないなー、となるしかない。
「わかった、わびになんかパフェでもおごってやるよ」
「わーい☆」
「…って言ったけど、手持ちがおっきいのしかないな。ちょっと待ってろ。両替してくる」
「ふにゃふにゃふにゃ…」
「すぐだからちょっとガマンしろよー」
へろってる李々をおいて、両替機をさがすと、あれ、結構混んでんな…。ちょっと焦りながら待って戻ってくると…。
「あれ、李々?」
確かここであってるはずなんだが…。そこにいた兄ちゃんに聞くと。
「ここにいた女の子なら、なんか変なのに絡まれてたぜ?」
「え!?」
「連れてかれたんじゃねーか?」
無責任な言葉に、急いでそれらしき一同を捜す。
もしかして、なんてことがあったら、それこそ皆月たちに申し訳がたたない。
「李々!」
それらしき女は見当たらない。
そんなわけが、ない。
そんなわけが―――。
皆月に、荒れた息で、事情を話した。
「それで?」
黒い瞳は揺らいだ様子無く、俺をさした。
「だから、李々とはぐれたんだぞ、余裕ぶっこいてていいのかよ!」
「うん、由々しき問題だね。」
でも…。と、皆月は後ろをみた。
「ところで、今双子そろってるんだけど?」
はい!?俺は思わずすっとんきょうな声をあげた。
「なんで!?」
「なんで、じゃないですよー。」
「双子とかいいつつ三つ子だったとか言うトリック無いよな!?」
「運が良かったんですってば」
ああ、もう力が全力で抜けて行くぜー。
「心配させんなよ!どうしたんだ」
「よくわからないんですけど、途中でもう一人男の人が来て、仲間われしだしたんですよ。それで、その隙をみて帰ってきたと。」
絡まれてたのは事実だったのか…!
「悪い、怖い思いしたな…」
「いえいえ、無事にすみましたから」
「近くだからって、やっぱりゲーセンは柄悪いのも行くんだから」
無事にすんだとはいえ、このままじゃ納得がいかない。というと、
「それじゃあ、もうお外怖いならおうちカフェでどうでしょう」
と、琉留が助け舟をだした。
「お茶とお菓子は草二さんもちでもてなしてもらいましょう、ね。李々ちゃん」
「にゃいすあいであー」李々も嬉しそうに相づちをうった。
「ま、そういうことなら、うちの母親の割といい紅茶をちょっと拝借してきてやる…でも、うちはあんまり菓子類おいてねーんだよな」
「うーん、お菓子類は作るとなると時間かかりますしねえ」
茶葉を取りに帰りに行く途中、皆月家の様子をうかがっている若い男をみかけた。
なんか、どっかで見たような顔だと思ったが、どうも雰囲気がよろしくない。
まさかとは思うが、李々に絡んでた奴じゃねえだろうな。
「おい、お前…」
声をかけると慌てた様子で去って行った。
皆月家に恨みのある人間、という線もあるな…。後で魅厘には話しておくか。
戻ってきて、わいのわいのやっているところで、魅厘がきた。
「なんだ、月影の。来てたのか。どうした?」
「月影、魅厘さんには内緒にして…!!」
皆月に耳打ちされて、いや、そういうわけにも…と言ったが、駄目、絶対!と押し切られた。
「草二さんうちカフェ企画ですよー」
「ん?ゲームセンターじゃなかったのか?」
「ちょっと事情が変わりまして。」
「まあそういうことなら、ここに松露とロールケーキがあるぞ」
にこにこ、と魅厘がなにやらいろいろと持ってきた。
なんかこういうときの魅厘は本当に嬉しそうである。
「草二さんって紅茶いれるの上手ですねー」
お茶をこくこくと飲みながら李々がいった。
「うちは親がうるさいからな。ちゃんと湧かすのと蒸らすのとさえすればたいていうまくなるんだよ」
「これならお菓子類も期待できそうなのにー」
「あー。俺菓子類は時間かかるから全パスな。…唯一の例外が、電子レンジでチンのういろうと同じく電子レンジチンのなんちゃってジャムだ。」
「ういろうって電子レンジでできるんですか!?覚えとこっとー」
と、和やかな様子だったのだが…。
それにしても、私に絡んできてた人ってなんなんでしょうね。
李々の、うっかり滑った言葉に、魅厘の鬼が発動した。
それで妙に皆月や琉留が寛容だった理由がわかったのだった。
ああ、そりゃ…。
っつか、魅厘って怒ると本当に白ゴジラだよな…。
あんまりカンカンなんで、謎の男の話ができなかった。
あいつなんだったんだ。
で、なんでボンボンまでうにゃーうにゃーって興奮してるわけ?
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