「森友」公文書改ざんに続き、イラクに派兵された自衛隊の日報の長期間隠ぺいが発覚し、国民の批判と怒りが高まるさなか、安倍晋三内閣が「働き方改革」一括法案を閣議決定しました。安倍政権は「最重要法案」と位置づけ今国会での成立を狙いますが、メディアの世論調査では同法案の反対は多数です。民意に反し強行するのでなく、法案を撤回すべきです。
ねつ造、隠ぺい、どう喝
ウソと隠ぺいの安倍政権の姿は「働き方改革」をめぐってもあらわです。裁量労働制に関する労働時間データをねつ造し裁量労働制の方が一般労働者より労働時間が短いとウソをつく。野村不動産で起きた過労自殺を隠ぺいし、それが問題になると東京労働局長が記者をどう喝する―国民と国会を欺く安倍政権に「働き方改革」一括法案を出す資格はありません。
一括法案は、「残業代ゼロ」法案と「残業時間の上限規制」法案を「一本化」した労働基準法改定案など8本の法律を一括で改定するものです。当初は裁量労働制の適用業務拡大を盛り込むことを狙いましたが、裁量労働制に関する労働時間データのねつ造が大問題になり、データ撤回と、裁量労働制拡大の削除に追い込まれました。
ところが、裁量労働制以上に長時間労働と過労死の温床となる「高度プロフェッショナル制度」(「残業代ゼロ」制度)は、法案に残されたままです。「残業代ゼロ」制度は、労働時間規制を完全に取り払い、24時間労働を48日間連続させても合法となります。
だからこそ、全ての労働団体と全国過労死を考える家族の会や弁護士団体をはじめ広範な市民団体が「長時間労働と過労死を促進する」「『過労死防止法』の流れに逆行している。容認できない」などと強く反対しているのです。
「残業時間の上限規制」についても、特例として「月100時間未満」「2~6カ月平均で月80時間」という過労死ラインの残業を法的に容認しています。欧州連合(EU)では週の労働時間は残業を含め48時間以内に制限されていることから見ても、とんでもない大改悪です。「上限規制」にも「月100時間残業合法化は許されない」と広範な労働組合と市民団体が怒りの声を上げています。一括法案は、どの点をとっても「過労死促進法案」そのものです。労働者・市民の反対の声を無視し強行するなど断じて容認できません。
「働き方改革」一括法案には、なんの道理もありません。日本共産党は、ナショナルセンターの違いをこえた共同と、市民と野党の共闘を前進させ、法案を撤回させるために力を尽くします。
ふつうに暮らせる社会を
日本共産党は、本物の「働き方改革」を提案しています。残業上限規制は例外を設けず、週15時間、月45時間、年360時間とする厚生労働大臣告示を法定化するとともに、一つの勤務から次の勤務までの間に連続11時間の休息時間(勤務間インターバル規制)を設けること、労働時間管理台帳の作成など時間管理を徹底すること、長時間労働の温床の裁量労働制等への規制強化などを求めています。「8時間働けばふつうに暮らせる社会」の実現こそ必要です。
隠ぺい・改ざんの安倍政権を追い込む世論を広げ、暴走政治に終止符を打つことが急務です。