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差別行為にあっぱれな懐の深さ ― サッカー・バルセロナ ダニエウ・アウベス

2014-05-09 | 国際ニュース・世界情勢

 すっかり「時の人」となった感のある、サッカー・バルセロナのダニエウ・アウベス選手(31)。同選手は4月末、スペインリーグの試合中に観客からバナナを投げ込まれました。黒人選手を猿扱いする差別行為ながら、何事もなかったように、それを拾って食べ、コーナーキックをけった―。そのユニークな抗議が、世界中をかけめぐり、共感を広げています

 アウベス選手は4日、さらに周囲をうならせる対応をみせました。それは、バナナを投げ入れた観客が、観戦禁止や懲役刑を科されることに、情状酌量を訴えていることです。彼はいいます。「罰はあるべきだ。だが、悪をもって悪を制することの正当性は信じない。人は学ばなければならない。こういった形はいけない」。なんとも懐の深い、優しさあふれる対応ではありませんか。差別行為が許されないことは明らかですが、「罪を憎んで人を憎まず」の姿勢は“あっぱれ”というほかありません。

 アウベス選手の母国であり、6月にワールドカップ(W杯)が開かれるブラジルは、「人種のるつぼ」です。白人や黒人、日本からも移民を受け入れ、互いに共存する社会をつくりあげてきました。ブラジルのルセフ大統領はいいます。「ブラジルは人種差別とたたかっていきます。私たちの力を、私たちの試合、生活のなかで見せていきます。私たちはいろんな人種がまじっていて、そのことを誇りに思っています」。W杯でも「バナナ」は重要なキーワードになるはずです。 


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