トヨタ8300億・三菱UFJ6000億・ソフトバンク4000億円…
一部の非上場企業を除いて、大企業の3月期決算が出そろいました。このうち、1200社の決算データを本紙が独自に集計したところ、内部留保が1年間で10兆円以上も増えていることが分かりました。円安の効果で自動車などの輸出企業の利益が増えたことや、株価上昇の効果で銀行や保険会社などの利益が増えたことが、大きな要因であり、大企業は安倍政権の経済政策「アベノミクス」の恩恵を受けていることが分かります
このデータは、2012年度決算が公表された企業の連結決算データから、内部留保の額(利益剰余金、資本剰余金、負債性引当金の合計額)を計算し、11年度末の内部留保額上位1200社について、12年度末までの1年間の増減を集計しました。
1200社のうち84%にあたる1010社が内部留保を増やしており、増加額の合計は約15・7兆円です。一方、190社は内部留保を減らしており、減少額の合計は約5・2兆円です。差し引きでは10・5兆円の増加となっています。
円安効果で自動車産業は軒並み内部留保を増やしました。たとえば、トヨタ自動車の場合、もともと約13・2兆円あった内部留保が1年間で8300億円も増加し、14兆円を突破しました。日産、ホンダも2000億円以上増やしています。そのほかに内部留保の増加額が多いのは、3メガバンク(三菱UFJ、みずほ、三井住友)をはじめとする大銀行、ソフトバンクやNTTなどの通信産業などです。
日本共産党は、2月に発表した「賃上げ・雇用アピール」で、「大企業の8割は、内部留保1%の活用で『月1万円』の賃上げが可能」という試算を示しました。今回の集計結果では、内部留保を増やした大企業の多くは、既存の内部留保を取り崩すまでもなく、増加分の数%程度を回すだけでも、「月1万円」の賃上げが可能だということが明らかになりました。
たとえば、トヨタの場合、連結子会社を含む国内従業員(非正規を含む)は23・5万人ですから、「月1万円」には年283億円が必要ですが、これは、増えた内部留保のうち、わずか3・4%にすぎません。
「内部留保の活用で賃上げを」の世論をいっそう高めていくことが重要です。