今年は没後20年という事でピアソラに捧げるコンサートをいろいろな場所で見かける。そのおかげで、ブエノスアイレス市民楽団の素晴らしいコンサートも無料で堪能できた。ひょんな事から篠田昌巳さんも亡くなって20年経つ事を知り・・・ピアソラと同じ年になくなったのか、と知り時の流れの速さに驚いた。
チンドンの仕事を中心にじゃがたら、生活向上委員会にも参加していた篠田君と共演した事は殆どなかった(たしか1,2回くらい)。コンポステラや黒田京子さんのバンドなどで聴いた事が1,2回ある程度。私自身はいつもどこかですれ違うくらいだったけれど、優しくて素敵な人だった。
その後、篠田君が亡くなってから、彼のバリトンサックスを林栄一さんが貰って・・・バリトン吹く場所がほしいな、ということで「Black Out」を林さんと結成したのだった。
このBlack Outは今や飛ぶ取りを落とす勢いの菊地成孔君も参加してくれ、2年ほど活動したのだが成孔くんが忙しくなった為に解散。
このCDが初期Black Out with 山下洋輔、という226LIVE CDです。ここでめずらしい林さんのバリトンソロや「カナビスの輪」で成孔君が吹きまくるという凄い演奏が聴けます。(NBAGI Record N002)
その後、川嶋哲郎、吉田隆一という新メンバーで再結成。林栄一さんは本来のアルトにまわってまた2年ほど活動したが、いろいろとあって解散w。
こっちが新メンバーのCD (N004)
さて、あのバリトンサックスはどうしたのかな・・・・と思っていたら「吉田の家に預けてあるけど、修理すれば吹いていいよ。」と林さんから聞いてさっそく吉田隆一君から受け取る事に。RIOがアルゼンチンから戻ってすぐにそのバリトンを修理に出してお借りする事になったのだった。
先月、RIOが林さんのバンド(吉田隆一君のトラ)でエアジンで演奏した際、
「これ、実は篠田からおれが形見に貰ったバリトンなんだけど、RIOにあげるよ。」
と正式にRIOが使って良いというお許しを頂いたのだった。それもお客さんの前でw。RIOは幸せ者だなあ。
昨日、ハードコアフェスでNaked MAUの演奏後に司会のマークが私にインタビューする、というコーナーがあり、その時にこのバリトンの話になった。
この話を聞いていたお客様が、
「あのバリトンが篠田さんのだったなんて驚きました。僕は昔、篠田さんの大ファンだったんです。頑張って下さいね。」と声をかけていただき、身の引き締まる思いだった私たち親子。
天国の篠田君に喜んでもらえるよう、ますます練習に磨きがかかる事でしょう。篠田くん、そして林さんありがとうございます。
そしてRIOは来年成人式を迎える。