minga日記

minga、東京ミュージックシーンで活動する女サックス吹きの日記

Thelonious Monkに乾杯!

2013年11月15日 | 環境
大学卒業式を控えた真冬、1982年の2/26に私は初めてNYに降り立った。偶然にもNYで22歳を迎える事になったのだ。

両親に頼み込んで、卒業式にかかる費用をそのままNY旅行にスライドさせてもらい、大学の仲間たちからはひんしゅくを買いつつも、慶応大ジャズ研の仲間たちと5人で行く事にしたのは、「これから本当にジャズを志してよいものかどうか」を見極める目的があった。

ジャズの本場、NYは一体どんなところなんだろう。期待で胸を膨らませて、予約しておいたワシントンスクエアの真ん前にある安宿に荷物を置き、その夜からさっそくライブハウスのはしごが始まった。

持って行ったお金はすべてライブに費やし、食事はピザで済ます、という節約ぶり。一晩に1軒では収まらず、2軒はまわったっけ。男4人に私という5人の珍道中。最初の2,3日こそ、危険なNYの夜中のライブハウス巡りで全員一緒に行動していたのだが、それぞれ趣味が違うので、気がつけば、女一人で勝手に行動・・・。





AIR、セシルテイラービッグパンド、D.ゴードン、D.リーブマン(クエスト)etc.....もう何を聞いたのか忘れてしまうほど沢山聴きに行ったけれど、ほとんどのミュージシャンがThelonious Monkの曲を必ずどこかで演奏していた事は記憶に残っている。

1982年、私たちがNYに来る10日ほど前にMONKは亡くなっていたのだ。まるでNYの街全体が悲しんでいるようだった。

この時以来、Monkの魅力を知り、彼の曲を演奏するようになっていくのだが、Monkの曲は未だに色あせない力を持っている。本当に素晴らしい曲ばかり!

その後、1989年から毎年NYに行くようになり、ライブハウスで演奏するようになった頃、MONKの映画をNYの小さな映画館で観た。クリント・イーストウッド制作ということで、NYじゅうで話題になっていた。

残念ながら日本でこの映画は上映されず、ずいぶん経ってからDVDが出たのだが、なんと、これがyoutubeで観られるなんて!
本当に便利になったもんだとつくづく思う。

くるくる回りながら笑うMonk、美しいパノニカ、献身的に尽くすネリー、そして、何よりも印象的だったのがレコーディング中にC.ラウズが「この音は?」と確認するシーン。「Any Note ,OK. Any Note you like...」ちっちゃい事は気にしない・・・のかw。(ちなみに、私はBlack Outの為に「Any note OK」という曲を書いたw)。

Monkの独特なピアノ。あの力強いタッチと美しいハーモニー。Monkにしか出せないサウンド。誰も真似できない。

Monkと出会ってNewportのヨットレースに出場する事になった多田雄幸さんとの壮絶な物語もそこから始まるのだが、またいつかここでも書きたいと思っている。

とにかく、素晴らしい映画を改めて鑑賞。Monkに乾杯!